ヴェネチア・ビエンナーレ2023: 現代美術の祭典?戦争と夢が交錯する現代美術の潮流
ロシアの侵略に揺れる世界、アートは希望を語る。ウクライナ、ロシア、そして各国のアーティストが表現する現代の葛藤と未来への願い。ヴェネチア・ビエンナーレで、激動の時代を映し出すアートの力を感じよう!
💡 2023年のヴェネチア・ビエンナーレは、ロシアによるウクライナ侵攻の影響を大きく受けました。
💡 現代美術の動向を多角的に示す、国別パビリオンにも注目です。
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それでは、第59回ヴェネチア・ビエンナーレについて詳しく見ていきましょう。
戦争の影が落ちるヴェネチア・ビエンナーレ
ヴェネチア・ビエンナーレでロシア館はどうなった?
閉鎖された
戦争の影が色濃く漂う中、アートがどのように表現されているのか、興味深いですね。

✅ 第59回ヴェネチア・ビエンナーレ企画展「The Milk of Dreams」では、ジャルディーニ会場にウクライナ緊急美術基金 (UEAF) が設置した「ウクライナ広場」が設けられ、土嚢のモニュメントや焦げた木の柱にウクライナ人アーティストの作品が展示されている。
✅ アルセナーレ会場では、シモーネ・リーの作品「Brick House」が展示され、リーは企画展の最優秀アーティストに贈られる「金獅子」を受賞した。
✅ アメリカ館では、シモーネ・リーによる個展「Sovereignty」が開催され、新古典主義建築をフランスの植民地博覧会のパビリオンのレプリカで覆い、ピカソがフェティッシュ化したギニアの女性像を再解釈した作品が展示されている。
さらに読む ⇒美術手帖出典/画像元: https://bijutsutecho.com/magazine/insight/25529/pictures/5戦争という厳しい現実と向き合いながらも、アートは希望とメッセージを伝えていると感じます。
2022年の第59回ヴェネチア・ビエンナーレは、ロシアによるウクライナ侵攻の影響を大きく受けました。
ロシアパビリオンは、参加予定だったアーティストとキュレーターが辞退を表明したため、閉鎖されました。
ヴェネツィア・ビエンナーレ財団も参加辞退を支持する声明を発表し、ロシアは参加国リストから削除されました。
一方、ウクライナパビリオンは予定通り公開されることが決まりました。
キュレーターたちは、戦火のキエフから作品を避難させることに成功し、ヴェネツィアでプロジェクトを継続しました。
ウクライナを代表するアーティスト、パウロ・マコウ氏は、ロシアによる侵攻から避難してきた経験を基にしたインスタレーション作品「The Fountain of Exhaustion(枯渇の泉の意)」を出展しました。
この作品は、現代に生きることを表現しています。
マコウ氏は、アートは世界を変えることはできないものの、生き延びるための助けになると考えています。
ロシア館は、ロシアのキュレーターとアーティストがウクライナ侵攻を受けて参加を辞退したため、空の状態となっています。
主催者はロシア政府関係者を美術展から締め出し、ロシアに対する文化的ボイコットに加わりました。
戦争の影響がアートにも及んでいるんですね。深く考えさせられます。
夢と現実が交錯する現代美術の祭典
ヴェネチア・ビエンナーレ、今年のテーマは?
夢のミルク
シュールレアリスムや抽象表現主義など、様々な芸術様式が融合した、現代美術の豊かな表現力を感じます。

✅ 第59回ヴェネチア・ビエンナーレは、キュレーターのチェチリア・アレマーニが「ミルク・オブ・ドリームス」というタイトルで、アンドラ・ウルスタやローズマリー・トロッケルなど、シュールレアリスムや抽象表現主義に焦点を当てた多様なアーティストの作品を展示している。
✅ アレマーニは、セントラル・パビリオンで、ウルスタの彫刻とトロッケルのテキスタイル作品を対比させることで、空間の制約にうまく対応しながらインパクトのある展示を実現している。また、ハンナ・レヴィの彫刻、クリスティーナ・クォールズの絵画、カーリ・アプソンががんで死ぬ直前に完成させた肖像画など、異なる表現形式の作品を組み合わせることで、互いを引き立て、新たな解釈を生み出している。
✅ アルセナーレ会場では、シモーヌ・リーの彫刻「レンガの家」とベルキス・アヨンのコラグラフ版画を組み合わせた展示が印象的である。リーの彫刻は、目のない黒人女性の胸像に西アフリカや米南部の伝統的な建築様式を暗示するドーム型の小屋を組み合わせることで、人種や歴史、文化的な問題に対する深い洞察を示唆している。
さらに読む ⇒(アートニュースジャパン)出典/画像元: https://artnewsjapan.com/article/380夢と現実が交錯する、現代美術の面白さを感じますね。
第59回ヴェネチア・ビエンナーレのテーマは「The Milk of Dreams(夢のミルクの意)」で、シュルレアリスムのアーティスト、レオノーラ・キャリントンの作品にちなんでいます。
キュレーターはハイライン・アートのチェチリア・アレマーニで、身体の表現、個人とテクノロジーの関係、身体と地球のつながりという3つのテーマを設け、1000点を超える作品を展示予定です。
コロナ禍の影響で、2021年の開催が1年延期されました。
アレマーニは、延期により発生した変化を捉えたいと考えています。
また、20世紀初期のテーマやアーティストに焦点を当てた「タイムカプセル」企画もあり、女性やジェンダー・ノンコンフォーミングのアーティストによるシュルレアリスム作品を多く取り上げる予定です。
参加アーティストは58カ国・213人で、そのうち180人は初出展となります。
バーバラ・クルーガー、セシリア・ビクーニャ、ポーラ・レゴなどの欧米でよく知られているアーティストに加え、若手や認知度の低いアーティストも多数参加します。
過去のアーティストの作品も展示されますが、物故アーティストの作品も例年以上に多く登場予定です。
アレマーニは、このビエンナーレを歴史を超えた美術展にしたいと考えており、現在と過去、排除の物語の間に対話を生み出すことを目指しています。
現代美術は難解なイメージがありますが、具体的な例を挙げていただけると理解しやすいですね。
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