ルアンルパとドクメンタ15:コレクティブが切り開くアートの未来とは?アートコレクティブ、ルアンルパの挑戦とドクメンタ15の波紋
インドネシアのコレクティブ「ルアンルパ」が芸術監督を務めたドクメンタ15。彼らが提唱する「ルンブン」という共同体的価値観は、多様なアーティストが集い、資源を共有する革新的な試み。しかし、反ユダヤ主義疑惑が浮上し、アート界に波紋を呼んだ。炎上の中でも、ルアンルパはコミュニティを重視し、グローバル・サウスの視点を取り入れた展示を展開。その真価は、対立を超え、多様性を問いかけるドクメンタ15の姿にある。
💡 ルアンルパは、インドネシアの美術家集団で、コレクティブ活動を通じて社会との繋がりを重視し、自由な表現を追求しています。
💡 ドクメンタ15では、ルアンルパが芸術監督を務め、共同体や資源共有を意味する『ルンブン』をコンセプトに、従来の美術展の枠を超えた展示を目指しています。
💡 しかし、ドクメンタ15は反ユダヤ主義的な表現を巡り論争となり、そのキュレーションプロセスにも課題が浮き彫りになりました。
それでは、ルアンルパの活動とドクメンタ15での挑戦について、詳しく見ていきましょう。
自由な表現を求めて:ルアンルパの誕生と成長
ルアンルパはどんな活動をしている?
現代美術コレクティブ
本章では、ルアンルパの誕生と成長、そしてその活動の基盤について解説します。

✅ ルアンルパは、ドクメンタ15で、コレクティブ活動の形式を展覧会に落とし込み、従来の美術館における芸術の枠組みを超えた、新たな国際的な展覧会のあり方を模索した。
✅ 2016年のあいちトリエンナーレで発表された《ルル学校》は、ドクメンタ15に繋がる重要な礎となり、ホリゾンタルな学びの実践、「アートより友人」というモットー、そして、観客参加型の作品を通して、知識や経験を共有し、参加者それぞれが主体的に関わる場を創造することが目指された。
✅ 《ルル学校》では、先生と生徒という関係は入れ替わり可能であり、誰でも学び、教え合うことができるという考えの下、観客参加型の作品を通じて、知識や経験を共有する学びの場を提供した。
さらに読む ⇒出典/画像元: https://www.tokyoartbeat.com/articles/-/documenta-fifteen-ruangrupa-2022-10『ルル学校』は、参加者同士が学び合う場を提供し、知識や経験の共有を促す、非常に興味深いプロジェクトですね。
ルアンルパは、1998年のスハルト政権崩壊後のインドネシア・ジャカルタで生まれた現代美術コレクティブです。
彼らは、自由な表現と社会との関わりを重視し、ノンクロン(仲間とぐだぐだとお喋りしたりお酒を飲んだりすること)を活動の起点としてきました。
当初はディスカッション、展覧会、レジデンスプログラム、パーティなどを開催し、現代美術やポップカルチャーを用いて、都市問題や文化的課題、政治的状況と向き合ってきました。
2000年以降は、映像フェスティバル、学生の作品展示、子供向けのプログラム、コミュニティラジオ局設立など、ジャカルタの文化的ニーズに応える活動を積極的に取り組んできました。
2015年には、6000平米を超える巨大な倉庫「グダンサリナ」に移転し、文化プラットフォームを構築。
コレクティブ間の連携を強化し、より多くの若者を含め、より広い層の人々に活動の場を提供してきました。
ルアンルパは、メンバーシップ制を取っておらず、社会状況に応じて活動の範囲を拡大してきた現代美術コレクティブの先駆けであり、ジャカルタの文化シーンに大きな影響を与え続けています。
ルアンルパのような、アートを通して社会を変えようとする姿勢、とても素敵です!私も、もっと色々な人と繋がり、共に成長できるような場所を探したいです。
ルアンルパの挑戦:展覧会への参加と「ルル学校」
ルアンルパのコレクティヴ活動は、どのようにドクメンタ15に影響を与えた?
学び合いの空間を重視した展示へ
本章では、ルアンルパが展覧会に参加し、「ルル学校」を通して、どのような挑戦をしたのか解説します。

✅ 「ルル学校」は、インドネシアのアーティスト集団・ルアンルパが、あいちトリエンナーレ2016で行っているプロジェクトで、文化と都市におけるアートの関わり方を提案しています。
✅ 10月には、ウェブマガジン「LIVERARY」編集長の武部敬俊による「ローカル/カルチャーとウェブマガジン:「LIVERARY」 のつくり方」、港まちづくり協議会の古橋敬一による「なごやのみ(ん)なとまち:暮らす・集う・創る」の授業が開講されます。
✅ これらの授業は、一般から募ったメンバーが知識や経験を共有することで、名古屋に新たな「カルチャー・エージェント」を育成し、地域のコンテクストに基づいた実践・アイデア・空間に対する新たなアプローチを模索することを目指しています。
さらに読む ⇒–出典/画像元: https://liverary-mag.com/art/52174.html「ルル学校」のように、知識や経験を共有し、誰もが学び合える場を作るという試みは、現代社会に必要な視点だと思います。
2013年の国際交流基金のプロジェクト「メディア/アートキッチンRealityDistortionField」を通して、ルアンルパはコレクティヴの活動を展覧会のフォーマットに落とし込むという挑戦を始めました。
2016年のあいちトリエンナーレでは、参加者同士が学び合い、教えることができる空間「ルル学校」を設けました。
この「ルル学校」で彼らは、「アートより友人」というモットーを掲げ、誰でも学び、教え、知識を共有できるホリゾンタルな関係性を大切にしました。
この経験は、後のドクメンタ15の企画に大きく影響を与え、参加型の展示やグローバル・サウスからのアーティストの選出、ホリゾンタルな関係を重視した展示へとつながっています。
ドクメンタ15は、ルアンルパが長年取り組んできたコレクティヴ活動の思想を具現化した展覧会と言えるでしょう。
アーティスト集団が、作品を通じて学びの場を提供するというのは、少し理解が難しいですね。もっと具体的な説明が欲しいです。
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アジア初のコレクティブ「ルアンルパ」が芸術監督を務めたドクメンタ15。資源共有「ルンブン」を掲げたが、反ユダヤ主義問題も。多様性と複雑さを持つ、世界を揺るがすアート祭典。