ヴェネチア・ビエンナーレとは?歴史と最新情報、日本館の今を解説!(?)現代アートと建築の祭典:ヴェネチア・ビエンナーレ
世界最古の国際美術展、ヴェネチア・ビエンナーレ。90カ国が参加し、日本館も文化発信の場として存在感を放つ。近年のテーマは世界情勢を反映し、先住民やアフリカからの参加が増加。変化する日本館の選出プロセスにも注目。建築展では環境問題やテクノロジーとの融合、そして新たな表現を探求。アートが問いかける現代社会の課題とは? 最新のアートトレンドと未来を見据えた、必見のイベント。
💡 ヴェネチア・ビエンナーレは、世界最古の国際美術展で、美術と建築を中心に、世界中のアートが集まる。
💡 日本館は1950年代に建設され、これまでに多くの日本人アーティストが参加。近年では改修も行われている。
💡 最新のビエンナーレでは、多様性と先住民の存在感が際立ち、環境問題など現代社会のテーマが扱われる。
それでは、ヴェネチア・ビエンナーレの概要から、日本館の歴史、そして最新情報まで、詳しく見ていきましょう。
ヴェネチア・ビエンナーレの歴史と日本館
ヴェネチア・ビエンナーレ日本館の設立はいつ?
1956年
本章では、ヴェネチア・ビエンナーレの歴史と、日本館に焦点を当てて解説していきます。
公開日:2023/05/23

✅ ヴェネチアビエンナーレ国際建築展2023の日本館は、「愛される建築を目指して ─ 建築を生き物として捉える」をテーマに、大西麻貴、百田有希、原田祐馬、多田智美のキュレーターチームにより企画されました。
✅ 建築をハードではなく、場所を取り巻く環境や歴史、記憶、物語とともに捉え、「愛される建築」の新たな意味を追求しています。
✅ dot architects、森山茜、水野太史など、専門性の異なる出展者が、日本館に呼応する空間を創造し、来場者に「愛される建築」の可能性を問いかける展示となっています。
さらに読む ⇒出典/画像元: https://architecturephoto.net/179543/日本館の建築、そしてそこでの展示。
歴史と現代が交差する様子が印象的ですね。
1895年に始まったヴェネチア・ビエンナーレは、世界最古の国際美術展として、当初はイタリア作家のみを招いていましたが、その後海外作家も招待するようになり、国別参加方式を採用しました。
現在では、約90カ国が参加し、日本を含む29カ国が恒常的なパヴィリオンを有しています。
日本は1952年にヴェネチア・ビエンナーレに初めて公式参加し、1956年には石橋正二郎氏の寄付により日本館が完成しました。
吉阪隆正が設計した日本館は、ル・コルビュジエに師事した建築で、インターナショナル・スタイルに日本的な特徴を融合させたデザインが特徴です。
これまでに斎藤義重、高松次郎、草間彌生、宮島達男などの著名な美術家が展示を行ってきました。
近年では、2014年と2025年に伊東豊雄による改修工事が行われ、竣工当時の表情を取り戻しています。
日本館は美術展で64万人、建築展で19万人を超える入場者数を記録しており、日本の文化情報発信拠点としての役割を担っています。
国際交流基金は1976年からヴェネチア・ビエンナーレ日本館における美術展の主催を行っており、日本を代表するアーティストの紹介を継続的に行っています。
また、1991年から始まった建築展においても、同様の取り組みを行っています。
日本館の歴史、興味深いですね。1950年代からこんなに多くのアーティストが参加していたとは!
第60回ヴェネチア・ビエンナーレ 多様性と先住民の力
ヴェネチア・ビエンナーレで注目されたのは?
先住民の存在感
本章では、第60回ヴェネチア・ビエンナーレを彩った、多様性と先住民の力について解説します。

✅ オーストラリア館のアーチー・ムーアによるインスタレーション作品「kith and kin」がヴェネチア・ビエンナーレで金獅子賞を受賞し、イギリスのテートとオーストラリアのクイーンズランド州立美術館近代美術館(QAGOMA)に収蔵されることが決定しました。
✅ 本作品は先住民の歴史と人種差別を題材とし、警察に拘束されている間に先住民が死亡した記録や、ムーアの祖先であるカミラロイ族とビガンブル族の歴史をたどり、その歴史の重さを表現しています。
✅ テートとQAGOMAは共同で作品を管理し、ヴェネチア・ビエンナーレ終了後は2026年までQAGOMAで展示される予定です。
さらに読む ⇒(アートニュースジャパン)出典/画像元: https://artnewsjapan.com/article/2605先住民アーティストの作品が、金獅子賞を受賞したことは、非常に意義深いですね。
第60回ヴェネチア・ビエンナーレでは、国際展のテーマが「どこにでもいる外国人(Foreigners Everywhere)」に決定しました。
今回の特徴として、先住民の存在感が増しており、ナショナル・パビリオンと国際展の金獅子賞を受賞したのはどちらも先住民族にルーツを持つアーティストでした。
また、アフリカからの参加国も増加し、今年は過去最多の11ヶ国が参加しています。
総合ディレクターはアドリアーノ・ペドロサで、初めてラテンアメリカ系の人物が就任しました。
審査陣にもフェミニズムやLGBTQ+、コロニアリズムなどを専門とするメンバーが名を連ねています。
ナショナル・パビリオンの金獅子賞はオーストラリアのアーチー・ムーアに贈られました。
ムーアはアボリジナルのカミラロイ族とビガンブル族にルーツを持つアーティストで、作品「kithandkin」では、自身の家系図を白いチョークで壁面に描き、その歴史と先住民の苦難を描いています。
さらに、中央には故人に関する検死書類の山が展示され、先住民に対する国家による抑圧を表現しています。
先住民の歴史をテーマにした作品が評価されるのは素晴らしいですが、作品の解釈には、客観的な視点も必要だと思います。
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ヴェネチア・ビエンナーレ、日本館代表選出に変化!毛利悠子×イ・スッキョン始動。他国の選出方法を参考に、アートの未来を模索。建築、環境、社会…多様なテーマで世界を魅せる。