女性アーティストの影:近世以前から現代までの日本の美術史におけるジェンダー格差とは?女性アーティストたちの歴史:見過ごされてきた存在
日本の美術史を覆す、彼女たちの物語。長らく記録から消されていた女性アーティストたちの足跡を、歴史的背景と社会構造から紐解く。平安時代の『女絵』から、江戸時代の小野お通、そして現代のアート界まで。ジェンダー格差、戦争、そして表現の自由…彼女たちが残した作品と、その裏にある真実を、国内外の事例を通して浮き彫りにする。美術史における女性の存在意義を問い直す、衝撃のドキュメンタリー。
現代の美術館とギャラリーにおけるジェンダー格差
美術界の男女比は?
男性優位
本章では、現代の美術界におけるジェンダー格差の実態と、その原因について解説します。

✅ 1990年代後半に日本でジェンダーをテーマにした展覧会が盛んに行われたが、男性批評家・研究者らによる「ジェンダー論争」と呼ばれる批判が起こり、本質的な議論に発展しなかった。
✅ 笠原小勝さんは、アメリカの美術界ではジェンダー的な視点は当たり前であるのに対し、日本では存在すらしていないことに驚き、怒りを感じていたことから「私という未知へ向かって 現代女性セルフ・ポートレイト」展を企画した。
✅ 小勝さんは美術館に就職後、版画部門を担当する中で、19世紀の挿絵本研究に基づいた「モードと諷刺」展を企画し、当時の女性の立場が、華美なドレスで着飾ることで男性の所有物・資産として扱われていたことを明らかにした。
さらに読む ⇒美術手帖出典/画像元: https://bijutsutecho.com/magazine/series/s21/19921美術館やギャラリーにおける男女比の偏りは、具体的な数字で示されると、より深刻に感じられます。
意識改革が必要ですね。
現代の美術界においても、女性アーティストの状況は、男性と比べて不平等であることが明らかになっています。
美術館やギャラリーにおける女性作家の作品数や所属率は低く、その原因は、女性アーティストの数が少ないのではなく、美術館やギャラリーにおけるジェンダー平等の実現が遅れていることにあります。
日本の国公立美術館4館の所蔵作品における作家の男女比は、男性が78〜88%と圧倒的に高く、女性はわずか10〜13%にとどまっています。
アメリカの美術館でも同様の状況が見られます。
アートバーゼルとUBSの共同調査では、Artsyに登録されている3000を超えるギャラリーにおける所属アーティストの男女比は、男性63%、女性37%という結果が報告されています。
さらに、アートを学び、アーティストを志す女性の数は男性と比較して決して少なくないため、女性アーティストの数が少ないという説明では不十分です。
現代の美術界でも、このような状況なのですね。アートを志す女性はたくさんいるのに、理解が進んでいないのは残念です。何か私にもできることはありますか?
戦争の影:画家たちの葛藤と決意
第二次世界大戦が画家たちに与えた影響は?
戦意高揚のための戦争画制作
本章では、戦争画を通して、画家たちの葛藤と決意に焦点を当て、解説していきます。
公開日:2022/08/14

✅ 戦意高揚を目的とした戦争画が、戦後77年経った現在、画家田中彰治郎さんによって「戦争は絶対にあかん」というメッセージを伝えるために活用されている。
✅ 田中さんが所有する画集は、太平洋戦争初期に軍が15人の画家を戦場へ派遣して描かせたもので、軍の意図のもとに制作され、戦時中の国民に戦争の正当性を訴えるために利用された。
✅ 田中さんは、義父から受け継いだ画集を通じて、戦争の残酷さと悲惨さを現代の人々に伝え、戦争の愚かさを認識させることを目指している。
さらに読む ⇒朝日新聞デジタル:朝日新聞社のニュースサイト出典/画像元: https://www.asahi.com/articles/ASQ8F6VYMQ8BPOMB00W.html戦争画を通して、戦争の悲惨さと、画家たちの葛藤が伝わってきます。
戦争が、人々の生き方に与える影響の大きさを改めて感じました。
第二次世界大戦は、男女問わず画家たちの行動に大きな影響を与えました。
特に、戦争画は戦意高揚のためのツールとして利用され、画家たちは国に貢献することを求められました。
男性画家は、戦争を描いて社会との繋がりを感じようとした一方で、女性画家は戦時中の活動範囲が限られ、戦争画を描く機会は限られていました。
画家たちは、戦争の目的や構図をどのように表現すればよいか戸惑いながらも、戦争を題材にした作品を生み出していきました。
なかには、通信員として前線に赴いた女性画家も存在し、戦争の現実を描いた作品を残しています。
戦争画を通して、戦争の悲惨さや、画家たちの葛藤が伝わってきます。戦争が、人々の生き方に与える影響の大きさを改めて感じました。
忘れられた声:女性アーティストの再評価
周縁化された女性アーティストの研究で、何が明らかになった?
戦争と表象の関係
本章では、女性アーティストの再評価に向けた取り組みについて解説します。

✅ 小勝禮子氏は、栃木県立美術館の学芸員として長年活躍し、ジェンダーの視点から日本の近代美術史を再検証する展覧会を数多く開催されました。
✅ 特に、女性画家の発掘と再評価に力を入れており、「揺れる女/揺らぐイメージ フェミニズムの誕生から現代まで」展や「奔る女たち 女性画家の戦前・戦後 1930-1950年代」展などが挙げられます。
✅ また、科研費による研究活動も精力的に行い、東アジアを中心とした現代女性アーティストの活動を調査し、その成果を「アジアをつなぐ―境界を生きる女たち展1984-2012」として発表するなど、国際的な視点での研究活動も積極的に展開しています。
さらに読む ⇒アジアの女性アーティスト:ジェンダー、歴史、境界|出典/画像元: https://asianw-art.com/profile/小勝禮子氏のような活動は、大変重要だと思います。
過去の女性アーティストを再評価し、その功績を正しく伝える努力は、未来のジェンダー平等に繋がるはずです。
本研究プロジェクトは、美術史で周縁化されてきた女性アーティストに焦点を当て、海外・日本におけるジェンダーの視点からの美術史研究や、表象文化理論とアート実践の調査を行いました。
特にアジア太平洋戦争期の女性美術家の活動を実証的に跡付けることで、戦争や暴力、ディアスポラに関わる表象・アートを明らかにすることを目的としていました。
研究期間は2008年度から2010年度までの3年間で、研究成果としては雑誌論文や学会発表などが多数挙げられています。
主な研究成果としては、日本の美術館と学芸員制度に関する研究や、戦時下における日本の女性画家の活動に関する研究、慰安婦の表象に関する研究などが挙げられます。
具体的な研究成果や、展覧会の詳細をもっと詳しく知りたいです。こういった活動がもっと広まってほしいですね。
本日の記事では、女性アーティストの歴史と、現代の課題について学びました。
ジェンダー平等の実現に向けて、私たちができることを考えていきたいですね。
💡 近世以前は女性アーティストが少なく、社会的な制約が大きかった。
💡 現代の美術界でも、ジェンダー格差は依然として存在している。
💡 女性アーティストの再評価と、ジェンダー平等の実現に向けた取り組みが重要である。