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ヴェネチア・ビエンナーレ日本館、過去と未来への問い?日本館展示の課題と、世界のビエンナーレ

世界最古の国際美術展、ヴェネチア・ビエンナーレ。各国のパビリオンが競う中、日本館は歴史と革新を融合。しかし、予算不足や選考プロセスの問題も。2024年、異質なものへの視線をテーマに、毛利悠子の展示が。国際交流基金の課題、他国の選出事例を参考に、日本の美術界は更なる進化を遂げられるか。

ヴェネチア・ビエンナーレ日本館、過去と未来への問い?日本館展示の課題と、世界のビエンナーレ

📘 この記事で分かる事!

💡 ヴェネチア・ビエンナーレは、世界で最も歴史のある国際美術展であり、日本は1950年代から公式参加しています。

💡 日本館は吉阪隆正設計の建築物であり、2024年の展示では、建築自体を展示物として捉え、「愛される建築」を探求しています。

💡 第60回ヴェネチア・ビエンナーレでは、毛利悠子を代表作家に迎え、環境問題をテーマにした作品が展示されます。

さて、本記事では、ヴェネチア・ビエンナーレの歴史と、日本館の展示内容に焦点を当て、日本という国の文化と芸術が世界でどのように表現されているのかを探っていきます。

まずは、第一章から見ていきましょう。

ヴェネチア・ビエンナーレの歴史と日本館

ヴェネチア・ビエンナーレ、日本館の歴史は?

1956年完成、吉阪隆正設計

本章では、ヴェネチア・ビエンナーレの歴史と、日本館について解説します。

ヴェネチア・ビエンナーレ建築展の日本館は、吉阪隆正の日本館そのものにフォーカス。「愛される建築を目指して」展を開催
ヴェネチア・ビエンナーレ建築展の日本館は、吉阪隆正の日本館そのものにフォーカス。「愛される建築を目指して」展を開催

✅ 第18回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展の日本館展示は、吉阪隆正設計の日本館自体を展示物として捉え、「愛される建築」を探求する。

✅ 建築家だけでなく、テキスタイルデザイナー、窯業家、デザイナー、編集者など、多様な専門家チームが参加し、日本館の構造や空間、歴史を様々な視点から表現することで、来場者の「愛される建築」に対する理解を深める。

✅ 展示を通して、建築を「生き物」として捉え、その個性や欠点も含めて愛し、育むことの大切さを訴え、建築と人とのより深い関係性を模索する。

さらに読む ⇒出典/画像元: https://www.tokyoartbeat.com/articles/-/venice-biennale-of-arch-2023-news-202304

日本館が建築自体を展示物として捉え、多角的な視点から建築の魅力を表現するという試みは、非常に興味深いですね。

建築と人との関係性を深める、というテーマも共感できます。

1895年に始まったヴェネチア・ビエンナーレは、世界で最も歴史のある国際美術展です。

当初はイタリアと海外の作家が混在していましたが、その後、各国が自国のパビリオンを持つ国別参加方式へと発展しました。

現在、日本を含む29カ国が恒常的なパビリオンを有し、約90カ国が参加しています。

日本は1952年に初めて公式参加し、1956年に日本館が完成しました

日本館は、吉阪隆正の設計によるインターナショナル・スタイルと日本的な特徴を融合させた建築で、これまで多くの著名な美術家や建築家によって展示が行われてきました。

2014年と2025年には改修工事が行われ、竣工当時の表情を取り戻しています。

日本館が、建築自体を展示物として捉えるという点が、とても面白いと思いました。建築って、まさに生きている存在ですよね。これからもっと色々な視点からアートを楽しめそうです!

日本館の課題:予算不足とサポート体制

日本館は、アーティストやキュレーターに十分なサポートを提供できているか?

不十分

本章では、日本館の抱える課題である予算不足とサポート体制について掘り下げます。

年ヴェネチア・ビエンナーレ日本館代表作家に毛利悠子が選出。「アートの近傍で起こる世界的問題を明らかにしたい」
年ヴェネチア・ビエンナーレ日本館代表作家に毛利悠子が選出。「アートの近傍で起こる世界的問題を明らかにしたい」

✅ 2024年4月20日から11月24日にかけて開催される第60回ヴェネチア・ビエンナーレの日本館に、美術家の毛利悠子が代表作家として選ばれ、キュレーターにはイ・スッキョンが選ばれました。

✅ 毛利悠子は、身近なものを素材にして、環境などの条件によって変化する「事象」に焦点を当てたインスタレーションや彫刻を制作しており、近年は環境問題をテーマにした作品を多く発表しています。

✅ 毛利悠子の作品は、ジャルディーニ地区の日本館で展示され、イ・スッキョンがキュレーションを担当します。

さらに読む ⇒(アートニュースジャパン)出典/画像元: https://artnewsjapan.com/article/1141

展示にかかる予算が限られている現状、アーティストの方々が自費で負担するケースが多いというのは、少し残念ですね。

今後の改善を期待したいです。

日本館の展示は国際交流基金が主催しており、同基金は1976年から日本を代表するアーティストを紹介しています。

しかし、近年は展覧会予算の不足が課題となっており、アーティストやキュレーターへのギャランティやサポート体制も十分とは言えません

特に、円安の影響もあって、予算は目減りしており、アーティストやキュレーターは自費で負担するケースが多いです。

具体的には、毛利悠子の展示では、ギャランティは20か月で30万円、キュレーターのイ・スッキョンさんも個別交渉でギャランティを受け取っていますが、予算全体は増えず、他の項目が圧迫された状況です。

また、展覧会予算のほかに、日本館自体の保全のために毎年同額ほどの予算が付与されているものの、他国のパビリオンと比較して大幅に少なく、予算の不足は深刻です。

過去の展示キュレーターも同様の意見を示しており、アーティストやキュレーターのフィーは仕事量や責任に見合っていないという声が多く上がっています。

今後の課題としては、展覧会予算の増額、アーティストやキュレーターへの適切な報酬、他国の関係者とのネットワーキングや交流に関するサポートの充実などが挙げられます。

国際交流基金はヴェネチア・ビエンナーレにおいて、キュレーターやアーティストが過不足のないサポートを受けられる体制を構築するとともに、日本館の存在感を高めるために、予算面での改善が必要です。

予算が足りない状況で、アーティストやキュレーターの負担が大きいというのは、少し問題ですね。科学的な根拠に基づいた、客観的なデータも示して、改善策を検討すべきだと思います。

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2024年ヴェネチア・ビエンナーレ開幕!テーマは「外国人はどこにでもいる」。331組の多様なアーティストが集結。日本館の選出プロセスにも注目!