ヴォルフガング・ティルマンスの視点と表現:写真、日常、社会への眼差しとは?写真表現の境界を拡張し続けるティルマンスの世界
90年代ユースカルチャーを写し出した写真家、ヴォルフガング・ティルマンス。MoMAでの回顧展も記憶に新しい彼が、日常、肖像、静物、抽象表現…写真の境界線を軽々と超える!展示空間全体を作品とするインスタレーション、古代と現代を融合させた表現は必見。天文学への関心から社会問題への眼差しまで。写真表現の可能性を追求し続けるティルマンスの世界へ。
💡 写真家ヴォルフガング・ティルマンスの幼少期から現在までの軌跡と、写真表現への革新的なアプローチ。
💡 日常の風景やポートレートを通して、写真表現の可能性を探求するティルマンスの多面的な視点。
💡 写真、絵画、インスタレーションなど、様々な表現形式を横断し、境界を曖昧にするティルマンスの作品。
ヴォルフガング・ティルマンスの多岐にわたる活動と表現について、これから詳細に見ていきましょう。
写真表現の可能性を探求するティルマンス:幼少期から現在までの軌跡
90年代ユースカルチャーを象徴する写真家は誰?
ヴォルフガング・ティルマンスです。
ヴォルフガング・ティルマンスの回顧展について見ていきましょう。
彼の初期から最新作までを網羅した展示は、写真表現の奥深さを感じさせます。

✅ ニューヨーク近代美術館(MoMA)で、ヴォルフガング・ティルマンスの過去最大規模の回顧展「To look without fear」が開催され、1980年代から現在までの417作品が展示されている。
✅ ティルマンスは作品の展示方法にもこだわり、作品のサイズやプリント方法を吟味し、壁に直接テープで貼ったり、ダブルクリップで吊るすなど、作品の「脆さと即時性」を重視したインスタレーションを展開している。
✅ 展示は年代順に並べられ、1990年代の代表作を中心に、ジェンダーやセクシュアリティの解放、ユースカルチャーをドキュメンタリー的に捉えた作品群が並び、現在も進行中の「フリースイマー」シリーズなど、ティルマンスの表現の広がりと深まりを示す内容となっている。
さらに読む ⇒出典/画像元: https://www.tokyoartbeat.com/articles/-/moma-wolfgang-tillmans-to-look-without-fear-2022-10展示の構成や作品の展示方法にも、ティルマンスのこだわりが感じられます。
写真の持つ脆さと、即時性を重視したインスタレーションは、作品への理解を深めますね。
ドイツ人写真家ヴォルフガング・ティルマンスは、1968年生まれ、ベルリンとロンドンを拠点に活動し、90年代のユースカルチャーを象徴する存在として世界的に知られています。
幼少期から天文学への関心を抱き、10歳で『天文学入門』に魅了され、天体望遠鏡での観察を通じて視覚へのイニシエーションを受けました。
14歳で教会青少年クラブに参加し社会問題に関心を持ち、86年からはモノクロコピー機を使った作品制作を開始。
その後、写真表現の可能性を追求し、1980年代から写真を始め、ターナー賞やハッセルブラッド国際写真賞を受賞するなど、現代アート界で重要な存在となっています。
2022年にはニューヨーク近代美術館(MoMA)で大規模な回顧展「Tolookwithoutfear」が開催され、初期から最新作までの417作品が展示されました。
ティルマンスさんの作品は、魂を揺さぶるような力強さがありますね。幼少期から天文学に関心があったというバックグラウンドも、作品に深みを与えているように感じます。
日常と非日常を捉える視点:多岐にわたるテーマと展示方法
ティルマンス、写真の境界線を拡張?展示方法のこだわりとは?
立体的なオブジェ、展示空間全体が作品。
「Moments of Life」では、ティルマンスが手掛けた展示空間自体も作品の一部となっています。
写真を見るだけでなく、空間全体を体験できるのは素晴らしいですね。
公開日:2023/02/04

✅ ドイツ人写真家ヴォルフガング・ティルマンスの展覧会「Moments of Life」が、ルイ・ヴィトン表参道店7Fのエスパス ルイ・ヴィトン東京で開催されており、予約不要・入場無料、写真・動画撮影も可能です(一部除く)。
✅ 展示空間は、ティルマンス自身が手掛けたもので、巨大な壁が設置され、周囲の景色が見えないようにカーテンが施されるなど、作品に集中できるような工夫が凝らされています。
✅ 展示作品は、大判インクジェットプリントや銀塩写真など、様々なサイズと形式で展示されており、展示順序も意図的に決められておらず、写真そのものを鑑賞するようになっています。
さらに読む ⇒建築とアートを巡る出典/画像元: https://www.artarchi-japan.jp/2023/02/moments-of-life.html日常と非日常を融合させた彼の作品は、写真表現の新たな可能性を示唆しています。
古典的なイメージと現代的なリアリティの融合は、興味深いですね。
ティルマンスの作品は、日常の風景やポートレート、静物、抽象表現など多岐にわたり、写真表現の境界線を拡張し続けています。
彼の作品は、写真が単なる平面ではなく立体的なオブジェであることを示唆し、額装された作品と直接壁に留められた作品を混在させるなど、展示方法にもこだわりがあります。
作品のサイズや配置も綿密に計算され、展示空間全体をインスタレーションとして捉え、個々の写真、壁面、そして展示全体のすべてが作品となり得るという多層的な表現を展開しています。
エスパス ルイ・ヴィトン東京での展示「MomentsofLife」では、伝統的なジャンルを横断する作品が展示され、古代彫像や17世紀オランダ絵画、マネの『草上の昼食』を思わせる作品など、古典的なイメージと現代のリアリティを融合させています。
確かに、展示方法や作品の配置が計算されているのは興味深いですね。ただ、写真の技術的な側面や、展示方法が作品に与える影響について、もう少し詳しく知りたいです。
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写真、絵画、宇宙…境界を越えるティルマンス。日常を切り取り、見る者の心に響く。アナログと社会活動、表現への挑戦。既成概念を覆す、深遠な世界。