曜変天目茶碗の謎に迫る〜国宝が語る美と科学の探求?曜変天目の美しさの秘密
宇宙を閉じ込めたような美しさ、曜変天目。中国・建窯が生み出した奇跡の茶碗は、鎌倉時代に日本へ。窯変が生み出す神秘的な輝きは、現在も多くの人々を魅了し続ける。国宝に指定された3つの曜変天目の謎に迫る最新研究や、闘茶文化との深い繋がり、そしてその美しさの秘密を紐解く。古(いにしえ)の技術と偶然が生んだ至高の美を、あなたの目で確かめてください。
💡 曜変天目は、中国の建窯で作られた黒い茶碗で、宇宙を思わせる美しい斑紋と光彩が特徴です。
💡 世界に現存する曜変天目はわずか3点(または4点)で、全てが日本にあり国宝に指定されています。
💡 最新の研究により、曜変天目の光彩は釉薬表面の微細構造による「構造色」であることが明らかにされつつあります。
本日は、日本の国宝である曜変天目茶碗について、その歴史的背景、科学的分析、そしてその魅力を紐解いていきます。
それでは、まず曜変天目の概要から見ていきましょう。
曜変天目の歴史と希少性
曜変天目の魅力は?
宇宙を思わせる美しさ
本章では、曜変天目の歴史と希少性について詳しく見ていきます。
まずは、静嘉堂文庫美術館の展示から、その魅力を感じてみましょう。
公開日:2022/12/01

✅ 静嘉堂文庫美術館が、世田谷区岡本から丸の内の重要文化財 明治生命館に移転し、開館記念展を開催。三菱の岩崎彌之助・小彌太の父子が蒐集した日本と東洋美術の至宝が展示されている。
✅ 明治生命館は、岡田信一郎設計による古典主義建築の最高傑作であり、巨大空間で自然光が注ぐホワイエと4つの展示ギャラリーを持つ。
✅ 国宝《曜変天目》や俵屋宗達《源氏物語関屋澪標図屛風》など、静嘉堂文庫美術館の所蔵する名宝の数々を鑑賞できる。
さらに読む ⇒芸術広場出典/画像元: https://geijutsuhiroba.com/exhibitions/%E9%9D%99%E5%98%89%E5%A0%82%E5%89%B5%E8%A8%AD130%E5%91%A8%E5%B9%B4%E3%80%80%E6%96%B0%E7%BE%8E%E8%A1%93%E9%A4%A8%E9%96%8B%E9%A4%A8%E8%A8%98%E5%BF%B5%E5%B1%95-%E2%85%B0-%E9%9F%BF%E3%81%8D%E3%81%82/国宝《曜変天目》をはじめとする、静嘉堂文庫美術館の貴重なコレクションは、まさに圧巻ですね。
特に曜変天目の輝きは、実際に目にすると息を呑む美しさです。
曜変天目は、中国福建省の建窯で作られた建盞の一種で、青や黄色、白などの斑紋が輝く特徴的な茶碗です。
その模様は、窯の中で起こる予期せぬ変化(窯変)によるもので、星や宇宙を思わせる美しさから「曜変」と名付けられました。
曜変天目は、鎌倉時代に日本の禅僧が持ち帰ったことで日本に伝わりました。
室町時代の書物『君台観左右帳記』では、曜変天目は「建盞の内の無上也世上になき物なり」と最上の評価を受けており、現在では世界にわずか3点しか完全な形で残っていません。
現存する曜変天目は全て日本で国宝に指定されており、静嘉堂文庫の『稲葉天目』、藤田美術館の『水戸天目』、東京国立博物館の『油滴天目』がそれにあたります。
それぞれの曜変天目は、青の発色の鮮やかさや外側への曜変の広がりなど、特徴が異なります。
曜変天目がなぜ日本にだけ残っているのかは謎ですが、かつては輸出専用だったという説や、宋代の宮廷で使用されていたという説など、様々な説が提唱されています。
曜変天目…まるで宇宙を閉じ込めたような美しさですね! どこか神秘的な力を感じます。こんなに貴重なものが、日本にしかないなんて、本当に不思議です。
曜変天目の誕生:闘茶と建盞
曜変天目はなぜ珍重された?
闘茶での美観のため
今回の章では、曜変天目の誕生背景を探ります。
闘茶文化と建盞の関係性から、曜変天目の真価に迫ります。

✅ 「宋建窯黒釉醤斑碗」は、宋代に福建省建陽で作られた茶碗であり、黒釉がかけられ、独特の「醤斑紋」と呼ばれる模様が特徴です。
✅ 「建盞」は、鉄胎と呼ばれる厚く硬い土で作られており、茶を点てる際に泡立ちを強調し、保温性も備えています。
✅ 「建盞」は、焼成過程で釉が酸化還元反応を起こし、様々な模様を生み出します。その模様の特徴から「兔毫」、「油滴」、「曜変」など、複数の種類に分類されます。
さらに読む ⇒人民日報出典/画像元: http://j.people.com.cn/n3/2024/0202/c206603-20130046.html黒い建盞が闘茶で重宝され、曜変天目が特別視された背景がよく理解できますね。
茶碗の美しさが、お茶の価値を高める重要な要素だったことが興味深いです。
曜変天目は、鉄釉を用いた建窯で焼かれた黒釉の茶碗である建盞の一種で、窯変現象によって独特の模様が現れたものです。
宋代には、茶の粉末を湯で溶かす点茶法が流行し、白く泡立ったお茶を競う闘茶という文化が発展しました。
黒い建盞は、白いお茶の色を引き立て、闘茶において重要な役割を果たしました。
闘茶では、茶葉の種類、水質、茶筅の使い手、茶碗の品質など、様々な要素が評価され、白く美しい泡を競い合ったことから、曜変天目のような美しい黒釉の建盞が求められたのです。
なるほど、闘茶という文化が背景にあったんですね。でも、なぜ黒い茶碗がそんなに重要視されたのか、科学的な根拠があるのでしょうか? 見た目の美しさだけではない理由を知りたいです。
次のページを読む ⇒
国宝・曜変天目の輝き!理研が、青紫の光彩は釉薬のシワが作る2次元回折格子によるものと解明。鑑賞や再現への道を開く新発見!