曜変天目茶碗の謎に迫る〜国宝が語る美と科学の探求?曜変天目の美しさの秘密
宇宙を閉じ込めたような美しさ、曜変天目。中国・建窯が生み出した奇跡の茶碗は、鎌倉時代に日本へ。窯変が生み出す神秘的な輝きは、現在も多くの人々を魅了し続ける。国宝に指定された3つの曜変天目の謎に迫る最新研究や、闘茶文化との深い繋がり、そしてその美しさの秘密を紐解く。古(いにしえ)の技術と偶然が生んだ至高の美を、あなたの目で確かめてください。
曜変天目の光彩の謎を解く
油滴天目茶碗の青紫色の光彩は何で生まれるの?
釉薬のシワによる回折
本章では、曜変天目の光彩の謎に迫ります。
理化学研究所の研究成果から、その秘密を解き明かしましょう。
公開日:2023/10/11

✅ 理化学研究所の研究チームは、国宝油滴天目茶碗の青紫色の光彩「曜変」が、油滴の反射と釉薬の2次元回折格子構造によって生じていることを解明しました。
✅ 研究チームは、油滴の構造を写真と電子顕微鏡画像から推定し、釉薬表面のシワと金属鉄膜から成る裏面に反射層を持つ2次元回折格子であると仮定することで、曜変の発色を説明しました。
✅ この研究成果は、油滴天目茶碗や曜変天目茶碗の鑑賞に最適な照明を提案できる可能性があり、釉薬の配合や焼成方法の解明にも貢献すると期待されています。
さらに読む ⇒テック・アイ技術情報研究所出典/画像元: https://tiisys.com/blog/2023/10/11/post-127954/2/釉薬表面のシワが2次元回折格子を形成し、光彩を生み出すというメカニズムは、非常に興味深いですね。
科学的なアプローチで、曜変の美しさが解明されるのは素晴らしいです。
理化学研究所の研究チームは、国宝油滴天目茶碗の青紫色の光彩(曜変)が、釉薬表面の2次元シワと反射層の回折光によって生じていることを発見しました。
従来の薄膜干渉による説明とは異なり、釉薬表面のシワが2次元回折格子を形成し、照明光の反射光を回折させて青紫色の光彩を生み出すというメカニズムを解明しました。
この発見は、油滴天目茶碗や曜変天目茶碗の鑑賞のための最適な照明を提案するだけでなく、釉薬の配合や焼成方法を解明する糸口になると期待されています。
研究チームは、写真家の西川茂氏がLED面光源を使用した撮影で天目茶碗の彩色が鮮やかに見えることに着目し、天目茶碗の彩色と照明の関係を調査しました。
先行研究で得られた釉薬表面の2次元シワの電子顕微鏡画像を精査し、回折による光彩の可能性に着目した結果、曜変の光彩を説明できる新たなモデルを提案しました。
この研究成果は、日本光学会誌『光学』に掲載されました。
まるで自分の人生みたい。今まで見えなかったものが見えてくる、新しい発見があるって、すごく希望が持てますね。曜変天目も、きっとそうやって輝きを増してきたんでしょうね。
曜変天目の特徴と名称の由来
曜変天目の最大の特徴は何?
斑紋と光彩
本章では、曜変天目の特徴や名称の由来を掘り下げていきます。
その奥深さに触れていきましょう。

✅ 曜変天目茶碗は、南宋時代に中国で作られたとされる天目茶碗の中でも最高級とされるもので、黒釉に斑紋が現れるのが特徴です。現存する曜変天目茶碗は世界でわずか3点(または4点)しかなく、その全てが日本にあり、国宝に指定されています。
✅ 曜変天目茶碗の斑紋は、意図的に作られたのか偶然によるものなのかは議論が分かれており、その起源や制作過程は未だ完全には解明されていません。現存する曜変天目茶碗は、中国では不吉の前兆として忌み嫌われたために廃棄されたという説も唱えられていますが、近年では南宋時代の最上層の人々に使われていたことが示唆されています。
✅ 曜変天目茶碗は、茶道の世界では非常に珍重されており、静嘉堂文庫美術館所蔵の「稲葉天目」など、国宝に指定されているものがいくつかあります。曜変天目茶碗は、その美しさだけでなく、その希少性からも、茶道の世界において特別な存在であり続けています。
さらに読む ⇒出典/画像元: https://www.wikiwand.com/ja/articles/%E6%9B%9C%E5%A4%89%E5%A4%A9%E7%9B%AE%E8%8C%B6%E7%A2%97曜変天目の名前の由来や、それぞれの茶碗の持つ個性を知ると、さらに興味が深まりますね。
その希少性も、人々を惹きつける大きな要因なのでしょう。
曜変天目は、宋時代の中国の建窯で焼かれた黒釉茶碗で、世界にわずか3つしか存在せず、全て日本に所蔵されています。
国宝に指定されている3碗は、静嘉堂文庫美術館、大徳寺龍光院、藤田美術館が所蔵しており、それぞれ独特の斑紋と光彩を持っています。
曜変天目は、黒釉表面に斑紋(星文)があり、その周りに青や紫の光彩が特徴です。
天目という名称は、曜変天目以外にも「禾目天目」「油滴天目」などの茶碗に使われており、日本製の「白天目」も存在します。
天目山の留学僧が使用していた茶碗を「天目」と呼んだのが始まりで、中国産の茶碗を指す言葉となりました。
曜変天目は、室町時代に唐物として珍重され、特に足利義政が収集したことから格別な茶碗として認識されるようになりました。
曜変天目の特徴的な斑紋と光彩は、窯変と呼ばれる焼き物の技術と、釉薬の破裂や流れによる偶然の要素が組み合わさって生まれたと考えられています。
当時の陶工は、高い技術と偶然の確率を高めることで、美しい曜変天目を生み出したとされています。
しかし、曜変天目の希少性から、その制作過程は未だ謎に包まれています。
曜変天目って、まるで運命の出会いみたい。唯一無二の存在で、特別な意味があるからこそ、惹かれるんでしょうね。私も、そんな出会いを求めていたいな。
曜変天目の研究と謎
曜変天目の光彩の秘密は?
構造色によるもの
最終章では、曜変天目の研究と謎について掘り下げていきます。
最新の研究成果から、その魅力を再確認しましょう。

✅ 「天目茶碗」の光彩は、窯変によって茶碗表層に生じた微細な構造による発色、いわゆる「構造色」に由来する可能性が高いことが、最新の科学的分析によって明らかになった。
✅ 大阪市立東洋陶磁美術館の「油滴天目」と藤田美術館の「曜変天目」の2つの国宝について、それぞれ光学シミュレーションとX線分析が行われ、その結果、どちらも微細な構造による「構造色」である可能性が高いことが示唆された。
✅ 「美は細部に宿る」というように、天目茶碗の美しい光彩は、肉眼では見えない微細な構造によって生み出されていることが、科学によって解明されつつある。
さらに読む ⇒日経サイエンス出典/画像元: https://www.nikkei-science.com/202408_040.html「構造色」という言葉、興味深いです。
光の干渉によって色が生まれるなんて、自然の神秘を感じますね。
藤田美術館の展示、ぜひ行ってみたいです。
室町将軍家の宝物録『君臺観左右帳記』は、建盞の中でも曜変天目を最上級品と評価しています。
曜変天目は、福建省建窯で焼かれた黒い茶碗(天目)の一種で、泡がはぜたような模様「破裂痕」と、角度によって変わる青色や緑色の光彩が特徴です。
国内に現存する3点はすべて国宝で、藤田美術館、静嘉堂文庫美術館、大徳寺龍光院にそれぞれ所蔵されています。
名古屋大学の無機化学者、山崎一雄氏は、曜変天目の光彩を釉薬のガラス質の薄膜が生み出す「光の干渉」と推測しましたが、確証には至りませんでした。
2016年、藤田美術館が所蔵する曜変天目に対する本格的な調査が行われ、蛍光X線分析や光の波長を調べる機器を用いて分析を行いました。
分析結果では、曜変天目の光彩は、重金属や着色剤によるものではなく、構造によって色が見える「構造色」である可能性が示されました。
これは、光の当たり具合によって青色が変化するなど、従来の予想とは異なる結果でした。
藤田美術館は、曜変天目を含む「土~土から生まれたもの~」をテーマにした展示を開催しています。
この展示は、曜変天目の謎に迫る貴重な機会です。
構造色…なるほど、科学的なアプローチで曜変天目の美しさが解明されつつあるんですね。でも、それでも謎が残されているところが、また面白いですね。
曜変天目の歴史、科学、そして美しさ。
その魅力を多角的にご紹介しました。
神秘的な美しさの裏には、高度な技術と偶然が生み出す奇跡がありましたね。
💡 曜変天目は、中国の建窯で焼かれた黒釉の茶碗で、世界にわずか3点しか現存しない。
💡 曜変天目の光彩は、釉薬表面の微細構造による「構造色」であることが最新の研究で明らかにされつつある。
💡 曜変天目の美しさは、技術と偶然が織りなす奇跡であり、多くの人々を魅了し続けている。