サードポイント(Third Point)とは?アクティビストファンドの投資戦略とは?日本企業への影響は?(?)ダニエル・ローブ率いるサードポイントの投資戦略と日本市場への影響
ダニエル・ローブ率いるアクティビストファンド、サードポイント。ヤフー、ソニーなど数々の企業で大胆な改革を提唱し、株主価値向上を目指す。経営陣への辛辣な提言や、時には対立も辞さない強硬姿勢が特徴。ディストレスト債投資から、日本企業への積極的な投資まで、その戦略は多岐にわたる。企業の変革を促す、物言う株主の動向から目が離せない。
💡 サードポイントは、ダニエル・ローブ率いるアクティビストファンド。企業価値向上を目指し、様々な企業へ投資。
💡 ハーバライフへの投資やヤフーの経営への関与など、具体的な事例を紹介。企業買収にも積極的。
💡 日本企業への投資も活発で、企業構造の改革を提案。ソニーへの投資も注目されている。
それでは、まずサードポイントの基本的な情報と、彼らがどのようにして企業へ投資しているのかを見ていきましょう。
アクティビストファンドの隆盛 サードポイントの歩み
ダニエル・ローブ氏のファンド、サードポイントはどんな活動で有名?
企業価値向上を目指すアクティビストファンド
本記事では、サードポイントの歩みを、ハーバライフへの投資など具体的な事例を交えて解説します。

✅ ハーバライフは、世界90カ国以上で展開する栄養補助食品メーカーで、300万人以上のメンバーを抱え、ニューヨーク株式市場に上場しています。
✅ 創業者マーク・ヒューズが母親のダイエットによる健康被害を目の当たりにしたことから、安全なダイエット方法を提供することを目指し、ハーバライフを設立しました。
✅ ハーバライフは、ウエイト・マネージメント製品、栄養補助食品、パーソナル・ケア製品などを通じて、健康的な生活と経済的自立を支援することを目指しており、世界中の人々のより良い栄養補給と夢の実現に貢献しています。
さらに読む ⇒チャンス出典/画像元: https://c-hance.com/project/detail.php?id=280ハーバライフの事例からは、アクティビストファンドがどのように企業を評価し、投資判断を下すのかが見えてきます。
サードポイント(ThirdPoint)は、ダニエル・ローブ(Daniel Loeb)氏が率いるアクティビストファンドです。
ローブ氏は、1995年にサードポイントマネジメントを設立し、運用は順調に拡大しました。
サードポイントは、ヤフーやハーバライフなど、数々の企業に対して積極的に投資を行い、株主価値の向上を目指してきました。
サードポイントは、2012年にヤフーの経営陣の学歴詐称スキャンダルを暴いたことで有名です。
当時のCEOの辞任に追い込み、新CEOにはGoogleの元役員であるマリッサ・メイヤー氏を招へいしました。
メイヤー氏はヤフー株を大幅に上昇させ、サードポイントはヤフーに自社株買いをさせることで投資を成功させました。
ハーバライフに関しては、マルチ商法と批判されている会社に対してビル・アックマン氏率いるファンドが空売りで攻勢をかけました。
しかし、サードポイントはハーバライフを支持し、ビル・アックマン氏との間に激しい対立が生まれました。
また、サードポイントはネスレにも投資しており、化粧品事業であるロレアル株の売却を求めました。
ネスレは、ロレアル株を売却し、その資金で自社株買いを行う可能性があります。
サードポイントは、日本企業にも積極的に投資しており、日本の企業統治の改善を求めています。
ソニー株にも投資しており、映像・音楽事業の分社化などを求めています。
ローブ氏は、高い投資能力と企業経営への鋭い洞察力で知られており、今後も多くの企業に対して影響力を持つことが予想されます。
なるほど、企業を成長させるために様々なアプローチがあるんですね。ハーバライフのような企業への投資は、私たちの生活にも影響がありそうですね。
サードポイントの投資戦略 積極的なエンゲージメント
サード・ポイントはどんな投資戦略で、どんな影響を与えているの?
アクティビスト投資で、企業改善を促す
インテルの事例は、アクティビストファンドが企業の技術革新や組織構造にどのように介入し、変化を促すかを示唆しています。
公開日:2021/02/08

✅ インテルは、技術革新が遅れ、競合他社にシェアを奪われ、経営危機に陥っている。
✅ インテルは、技術革新を主導できる人物として、12年前に退社した初代CTOのゲルシンガー氏をCEOに招聘した。
✅ ゲルシンガー氏は、技術革新重視の経営で、インテルを再び業界トップに導くことを目指している。
さらに読む ⇒週刊エコノミスト出典/画像元: https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20210216/se1/00m/020/055000cサードポイントの投資戦略は、企業の業績悪化に対する具体的な改善策を要求することに特徴がありますね。
サード・ポイントは、ダニエル・ローブが率いるヘッジファンドです。
彼自身の経験やオークツリー・キャピタルのハワード・マークスの教えに基づき、レバレッジを極端に抑え、買いポジションのウェイトは全体の110~120%、売りのウェイトはそれよりも2~4割少なく設定しています。
サード・ポイントは、投資対象企業に対して、洞察に富んだ、あるいは辛辣な内容の手紙を送りつけ、場合によってはその内容を公表することで、アクティビスト(物言う株主)ファンドとしての役割を果たしています。
主な投資スタイルとしては、ディストレスト債やハイイールド債への投資、リスク・アービトラージなどがありますが、積極的な売りポジションも重要な戦略です。
2020年にはインテルの主要株主となり、設計と製造の分離や失敗した買収案件の売却検討を提言しました。
また、2021年にはロイヤル・ダッチ・シェルの株主となり、業績と企業価値向上のため、LNG、再生可能エネルギー、トレーディング事業からの分離を主張しました。
サード・ポイントが指摘するのは、経営の失敗による業績悪化への具体的な改善策です。
これは、経営トップの解任・交代、低収益事業や赤字事業の売却・スピンオフなど、企業にとって非常に難しい問題を提起するものとなります。
しかし、サード・ポイントは株主として、これらの問題に対して改善を要求します。
これは、企業側や他の株主からの反応を引き出し、株価に影響を与えうるものです。
サード・ポイント自身も、企業に対するアクティビストの攻撃のターゲットとなることがあります。
2007年7月に、ロンドン証券取引所でサード・ポイント・インベスターズを上場した際、この攻撃に直面しました。
企業への提言は、株主価値を最大化するための合理的な戦略なのでしょうが、経営者との対立も生じやすいのでしょうね。
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第三者割当増資で日本企業を揺るがすアクティビスト、サード・ポイント。ソニーに大胆提言!構造改革で企業価値向上を狙う。その手法は「正論」か「狙い撃ち」か?注目が集まる。