リクリット・ティラヴァーニャ:アートと社会の関係性を問い続ける作品とは?岡山芸術交流から読み解く、リクリット・ティラヴァーニャの現在地
タイ人アーティスト、リクリット・ティラヴァニ。カレーやパッタイを振る舞い、鑑賞者との゛関係性゛を重視する。デュシャンの「レディメイド」を拡張し、料理や音楽、ファッションとのコラボレーションを通して、既成概念を覆す。作品は、鑑賞者に自らの解釈を促し、新たな視点やコミュニティを生み出す。MoMAやグッゲンハイム美術館も認める、リレーショナル・アートの先駆者。
💡 リクリット・ティラヴァーニャは、料理やパーティー、ライブを作品化し、鑑賞者との関係性を重視する「関係性のアート」を実践しています。
💡 彼の作品は、鑑賞者に解釈の余地を与え、固定概念を揺さぶることで、新たな視点やコミュニティ形成を促します。
💡 「岡山芸術交流2022」での展示や、ファッションブランドとのコラボレーションを通して、その活動の幅を広げています。
それでは、リクリット・ティラヴァーニャの作品が持つ魅力について、詳しく見ていきましょう。
まずは、彼の作品における「デモ・ステーション」という概念から解説します。
リクリット・ティラヴァニとデュシャンの「レディメイド」
リクリット・ティラヴァニのアートは、どのように鑑賞者との関係性を築く?
「関係性のアート」
この章では、リクリット・ティラヴァーニャの社会彫刻に対する考え方、そしてデュシャンの「レディメイド」との関係性について掘り下げていきます。
公開日:2018/09/19

✅ タイ出身の現代美術家であるリクリット・ティラヴァニアは、自身の作品における「デモ・ステーション」という概念について、単なる抗議や声をあげる行動ではなく、「別の可能性を示すもの」として捉えていると述べています。
✅ 彼は、社会彫刻の重要性を認めつつ、リーダー不在で何かを成し遂げる難しさに言及し、作品を通して参加者にコミューナルな意思を生み出し、ツールとして「デモ・ステーション」を利用することで、従来では到達できなかった目標達成を目指すことを強調しています。
✅ また、マクドナルドや豆腐屋などの例を挙げ、社会変化は常に流動的であり、新しい需要や憧れの感情によって新たな可能性が生まれることを示唆しています。彼は、自然回帰への動きは重要だが、現実的な行動とコミューナルな意思を伴うべきだと主張し、自身の国際的なバックグラウンドを作品に反映させることの重要性について触れ、ウィーンでのシンドラー・ハウス展示を通して、忘れられていたオーストリアの建築家とその作品を再び注目させたいと考えていることを明らかにしています。
さらに読む ⇒(アートイット)出典/画像元: https://www.art-it.asia/u/admin_ed_itv/edqdxkscrwib81kun6ft/作品を通して、人間が主体的に参加し、コミュニティを形成していく過程を表現しているという点が印象的でした。
社会的な問題提起だけでなく、具体的な行動へと繋げようとする姿勢にも共感します。
リクリット・ティラヴァニは、タイ風カレーやパッタイを振る舞う作品で知られるタイ人アーティストです。
彼は、マルセル・デュシャンの「レディメイド」を「ことのレディメイド」へと拡張し、料理やパーティー、ライブといった「こと」を作品化することで、鑑賞者との関係性を生み出す「関係性のアート」を実践しています。
彼の代表作の一つである「Untitled2017(OilDrumStage)」は、ドラム缶を象った9つの柱に支えられたステージで、会期中には公募によって選ばれたバンドやパフォーマーが出演して腕を競うという作品です。
この作品は、鑑賞者に対して「解読・解釈」という知的行為を促すことで、デュシャンを超えた「関係性のアート」の実現を目指しています。
一方、ドクメンタ15(d15)のような体験型・参加型の作品は、デュシャンから遠く離れており、鑑賞者に対して「解読・解釈」という行為を要求しません。
美術館という場所における作品の表現の可能性について考察を進めているリクリット・ティラヴァニは、自身が作品を置く状況や文脈によって変化することを認め、作品が置かれる状況や文脈によって変化することを認めています。
素晴らしいですね!まるで一つの物語を読んでいるようです。彼の作品が、私たちが普段見過ごしている日常の中に、新しい意味を見出すヒントを与えてくれそうですね。
立体作品とイメージの解釈
リクリット・ティラヴァニはどのように鑑賞者に解釈を促すか?
シナリオと立体でイメージ提示
ここでは、リクリット・ティラヴァーニャが、観客との交流を重視した「関係性のアート」を通じて、どのような表現をしているのかを考察していきます。
公開日:2022/10/21

✅ リクリット・ティラヴァーニャは、観客との交流を重視した「関係性のアート」を代表するアーティストであり、今回の「岡山芸術交流」で発表された「Untitled 2017(Oil Drum Stage)」も、観客が実際に参加することで完成する作品である。
✅ 作品は、ドラム缶でできた簡素なステージであり、観客が自由に演奏できるようになっている。これは、化石燃料への依存を批判するメッセージと同時に、観客が音楽を通して作品と一体化する、現代的なアート体験を提供する。
✅ 「関係性のアート」の重要性を説く小崎哲哉氏は、観客が積極的に作品に参加することこそが、現代アートの鑑賞の真髄であり、ティラヴァーニャの作品はその実践例であると主張している。
さらに読む ⇒婦人画報デジタル食も文化もウェルネスも。「本物」がここにある出典/画像元: https://www.fujingaho.jp/culture/art/a40183683/art-ozakitetsuya-221021/観客が参加することで作品が完成する、という点が興味深いです。
作品を通して、私たち自身も変化していくような感覚を覚えました。
積極的に関わることの大切さを感じます。
リクリット・ティラヴァニは、イメージが固定化されることを避けるため、立体を用いて「シナリオ」や「瞬間」を提示することで、鑑賞者が自分なりの解釈を生み出せるようにすることを目指しています。
彼は、展示空間や建築、自然物などをシナリオの足場として使い、見ている人が空間的な関係性を通してイメージを把握できるようにしています。
また、彼はシステム批判に関心を持ち、システムの構造を解体することを遊びやゲームを通して探求しています。
彼の作品は、観客が「ポジティブ」なコミュニティを形成するような雰囲気を作り出すこともありますが、観客を戸惑わせたり、居心地悪くさせる状況を生み出すことを重要と考えています。
それは、観客が既知のものに対しても戸惑う経験をすることで、新たな解釈や理解を得られる可能性があるからです。
うーん、ちょっと実感がわかないですね。観客が自由に演奏できるステージ、と言われても、それがアートとして成立するのか、科学的な根拠が欲しいところです。
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リクリット・ティラヴァーニャの『ARetrospective』展。空間と音で構成された展示は、鑑賞者の体験を重視。OVERCOATとのコラボ作品も紹介。彼の芸術は、関係性と新たな解釈を生み出す。