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『女性画家たちと戦争』~ジェンダー視点から読み解く戦争画の世界~?女性画家たちの戦争とジェンダー

明治から戦後、女性画家の活躍を阻んだ壁。戦争は彼女たちを国家のプロパガンダに動員したが、その評価は…? 本講演は、戦時下の「女流美術家奉公隊」に焦点を当て、女性画家たちの葛藤と挑戦を、ジェンダー視点から紐解く。彼女たちは、いかにして社会規範と向き合い、作品を通してメッセージを発信したのか? 美術史に残る女性たちの力と、現代にも残るジェンダー格差について考える。

『女性画家たちと戦争』~ジェンダー視点から読み解く戦争画の世界~?女性画家たちの戦争とジェンダー

📘 この記事で分かる事!

💡 太平洋戦争中、女性美術家たちは「女流美術家奉公隊」を結成し、戦争協力のための絵画制作を行った。

💡 女性画家たちは、男性画家とは異なる視点から戦争を描き、ジェンダー規範からの逸脱と見なされることもあった。

💡 現代では、美術界におけるジェンダー不平等が問題となっており、新たな視点からの美術史の見直しが進んでいる。

それでは、女性画家たちが戦争という時代の中で、どのように活動し、社会と向き合っていたのか、詳しく見ていきましょう。

女性画家の活動と社会規範

戦時下、女性画家の役割は?

国家の宣伝や士気高揚

本章では、女性美術家奉公隊の活動と、当時の社会状況について解説していきます。

女流美術家奉公隊–
女流美術家奉公隊–

✅ 「Artwords® 女流美術家奉公隊」は、太平洋戦争中に陸軍報道部の指導のもと、1943年2月に結成された、50名の女性美術家による団体です。

✅ 奉公隊は、戦争に協力する目的で、絵画展を開催し、兵士を送り出す母親を鼓舞することで兵士の士気を高めることを目指しました。また、工場での勤労奉仕や共同制作など、国家への貢献を行いました。

✅ 奉公隊が制作した巨大な共同作品《大東亜戦皇国婦女皆勤の図》は、当時の新聞雑誌に掲載された女性の労働風景をコラージュした作品で、銃後を生きた女性たちの自画像と言えるでしょう。

さらに読む ⇒–美術館・アート情報出典/画像元: https://artscape.jp/artword/6141/

女性画家たちが戦争協力という形で社会に貢献していた事実は、驚きと同時に、当時の複雑な状況を理解する上で非常に重要だと感じます。

明治時代から戦後にかけて、女性画家は男性と比べて美術教育や美術団体への参入が制限され、描く対象も花や静物といった限定的なものとされてきました。

しかし、戦争が勃発すると、女性画家は国家の宣伝や国民の士気を高めるための絵画制作に動員されることになりました。

特に、陸軍報道部の指導の下結成された「女流美術家奉公隊」は、少年兵を描いた展覧会を開催し、国民の愛国心を煽りました。

しかし、こうした活動は、女性画家の評価を高めるものではなく、むしろ彼らの作品は男性画家に比べて低い評価を受けることもありました。

戦争と美術、そしてジェンダーというテーマが絡み合うと、一体どんなドラマが生まれるんだろう。すごく興味があります!

女性画家の困難と主張

戦時中の女性画家は、どのように戦争と向き合ったのか?

奉公隊活動で従事し、存在意義を主張した

本章では、女性画家たちが直面した困難と、彼女たちの主張について掘り下げていきます。

第二次世界大戦下の女性たちの労働を描いた《大東亜戦皇国婦女皆働之図》が伝えること——『女性画家たちと戦争』著者インタビュー(前篇)

公開日:2023/08/11

第二次世界大戦下の女性たちの労働を描いた《大東亜戦皇国婦女皆働之図》が伝えること——『女性画家たちと戦争』著者インタビュー(前篇)

✅ 本書は、戦争画とジェンダーという従来タブーとされてきたテーマに着目し、女性画家の戦争画を研究対象としたものである。

✅ 著者は、大学時代から「戦争画」と「ジェンダー」という美術界や社会から「厄介者」扱いされているテーマに興味を持ち、研究を始めた。

✅ 特に、著者は「大東亜戦皇国婦女皆働之図」(春夏の部)(秋冬の部)という作品と、その制作に関わった「女流美術家奉公隊」について、新聞記事や美術年鑑などの資料を調査し、その実態を明らかにした。

さらに読む ⇒好書好日|出典/画像元: https://book.asahi.com/jinbun/article/14977723

研究対象がタブー視されがちなテーマであることに、強い問題意識と情熱を感じます。

資料調査による実態解明に期待が高まります。

吉良智子さんの講演では、近代日本の女性洋画家たちが戦争とどう向き合ったのか、ジェンダーの視点から詳しく解説されました。

特に、戦時下の「女流美術家奉公隊」の活動に焦点を当て、女性画家たちが国家政策にどのように従事し、同時に自分たちの存在意義を主張していったのかが明らかになりました。

講演は、女性芸術家の名前をほとんど知らないという現状から始まり、なぜ女性が芸術の世界で活躍しにくいのか、その社会的背景やジェンダー規範について考察しました。

女性画家たちが、家庭環境や教育、職業的自立において男性とは異なる困難に直面し、絵画を描くこと自体がジェンダー規範からの逸脱と見なされた状況が語られました

吉良さんの講演、具体的なデータや客観的な視点に基づいて語られるのか、少し不安です。感情論に偏らないか、注意して聞こうと思います。

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戦時下の女性画家たちの視点を通して、戦争とジェンダーの関係性を考察。社会の変化、葛藤、そして現代にも残るジェンダー不平等について考える。