『女性画家たちと戦争』~ジェンダー視点から読み解く戦争画の世界~?女性画家たちの戦争とジェンダー
明治から戦後、女性画家の活躍を阻んだ壁。戦争は彼女たちを国家のプロパガンダに動員したが、その評価は…? 本講演は、戦時下の「女流美術家奉公隊」に焦点を当て、女性画家たちの葛藤と挑戦を、ジェンダー視点から紐解く。彼女たちは、いかにして社会規範と向き合い、作品を通してメッセージを発信したのか? 美術史に残る女性たちの力と、現代にも残るジェンダー格差について考える。
戦争と女性の視点
戦時下、女性画家たちはどんな作品を描きましたか?
少年兵や女性労働を描きました
この章では、長谷川春子と三岸節子の対照的な人生を通して、戦争と女性の視点を探ります。
公開日:2023/03/02

✅ 戦前・戦中・戦後の激動の時代を生き抜き、女性画家の道を歩んだ長谷川春子と三岸節子の対照的な人生を描いた番組。
✅ 特に、戦争への協力問題で決別し、それぞれ異なる道を歩んだ二人の生き様を通じて、当時のジェンダー状況と女性たちの葛藤が浮き彫りになります。
✅ 番組では写真家・大石芳野さんが二人の生涯をたどり、現代におけるジェンダー平等の課題について考えさせられる内容となっています。
さらに読む ⇒美術展ナビ出典/画像元: https://artexhibition.jp/topics/news/20230301-AEJ1264842/二人の女性画家の対比を通して、戦争に対する多様な視点と、当時の女性たちの葛藤を描いていることに興味を惹かれます。
戦時下、女性画家たちは、男性中心の戦争画とは異なる視点で、少年兵や女性の労働などを描いた作品を発表しました。
その中には、写真と絵画を対比することで、戦時下におけるジェンダー規範の揺らぎが見て取れるものもありました。
講演の中では、戦時協力に賛同した長谷川春子と、軍部の美術観に懐疑を抱いた三岸節子という二人の対照的な女性画家を取り上げ、戦争に対する女性の複雑な立場や葛藤が浮き彫りになりました。
戦争という大きな出来事の中で、女性たちがどのように生きたのか、その葛藤や苦悩を知りたいです。自分の人生と重ね合わせて考えたい。
『女性画家たちと戦争』の内容
戦時中の女性画家の役割と影の部分とは?
社会貢献と表現の葛藤
この章では、吉良智子さんの著書『女性画家たちと戦争』の内容を詳しく見ていきましょう。
公開日:2023/10/22

✅ 第二次世界大戦中に結成された「女流美術家奉公隊」が制作した戦争画「大東亜戦皇国婦女皆働之図」は、女性たちの銃後の労働をコラージュ的に描いた作品です。
✅ 美術史・ジェンダー史研究者の吉良智子さんは、この作品に潜む「欲望」を考察し、当時の女性美術家たちが戦争画を描くに至った背景を探るとともに、現代を生きる私たちへのメッセージを読み取ります。
✅ 本作品は、戦闘機や砲弾の生産など、女性による様々な労働を描いており、時代を記録しようという描き手たちの熱意が伝わってきます。吉良さんは、戦後の価値観では理解しにくいこの作品を通して、当時の女性たちの複雑な心境と、現代社会におけるジェンダー問題への示唆を探ります。
さらに読む ⇒ニュースサイト出典/画像元: https://mainichi.jp/articles/20231021/k00/00m/040/122000c女性の社会参加と存在証明への希求という視点は、現代社会にも通じる普遍的なテーマだと感じました。
作品を通してどのようなメッセージが込められているのか、さらに深く知りたいです。
吉良智子さんは自身の著書『女性画家たちと戦争』の中で、戦争画の制作を通して女性が社会的に担った役割と、その歴史における影の部分を浮き彫りにしました。
本書では、戦時中の女性画家の活動が、当時の社会におけるジェンダー規範や戦争の影響下でどのように展開していったのかを、一次資料に基づいて詳細に分析しています。
特に、奉公隊の活動記録として制作された共同作品「大東亜戦皇国婦女皆働之図」を例に挙げ、女性画家に課せられた役割と、彼女たちが作品を通して表現しようとしたメッセージについて考察しています。
この作品は、44名の女性画家が共同で制作したもので、戦時中の女性の労働シーンがコラージュ的に描かれています。
吉良氏は、この作品が女性の社会参加と存在証明への希求を表している可能性を指摘しています。
作品に込められたメッセージを通して、当時の女性たちのスピリチュアルな側面や、魂の叫びみたいなものも感じ取れるのかな?興味津々!
現代におけるジェンダー問題
美術界のジェンダー不平等は解決した?
まだ課題が残る
本章では、現代におけるジェンダー問題について考察します。

✅ 近年、美術館やアートマーケットでの「女性アーティスト」への評価が見直しが進んでいる。これは、従来男性中心であった美術史における女性アーティストの活躍や貢献が、新たな視点から再評価され始めていることを示している。
✅ しかし、この見直しは単純に「女性アーティスト」を称えるだけでなく、過去の差別的な構造や偏見を認識し、より包括的な視点から美術史や芸術活動を捉え直す必要がある。近年、美術館のコレクションや芸術史書の男女比を見直し、女性のアーティストの作品の購入や紹介を増やす動きが世界的に広がっている。
✅ この動きは、女性アーティストが長い間抱えてきた差別や偏見を解消し、より公平な美術史の構築を目指すものである。しかし、同時に「女性アーティスト」というカテゴライズが、新たな差別を生み出す可能性も孕んでいる。そのため、ジェンダー、人種、階級など多様な視点から美術史を見直し、真に包容性のある美術史を構築することが重要である。
さらに読む ⇒出典/画像元: https://www.tokyoartbeat.com/articles/-/why_woman_artist美術界におけるジェンダー不平等が現代でも残っているという指摘は、非常に重要ですね。
具体的な問題点が提示され、深く考えさせられます。
講演の最後に、現代でも美術界におけるジェンダー不平等が解消されていない現状が指摘され、美術系大学における教員の性比、女性アーティストの離脱、美術評論のジェンダーアンバランスなどが問題点として挙げられました。
質疑応答では、現在のウクライナ戦争についても触れられ、戦争とジェンダーの関係が改めて注目されました。
今回の講演は、美術史を通して、ジェンダーのあり方がどのように変化してきたのか、そして現代にも残るジェンダー不平等について考える貴重な機会となりました。
美術界のジェンダー問題?データに基づいた客観的な分析は、すごく興味深いな。偏見や思い込みを排除して、事実をしっかり見極めたい。
本記事を通して、女性画家たちの戦争という時代の中での活動と、ジェンダーという視点から見たその意味について、深く考えることができました。
💡 女性画家たちは、戦争という時代の中で、様々な困難に直面しながらも、自らの表現を通して社会に貢献した。
💡 戦争画を通して、ジェンダー規範や女性の役割について、新たな視点を得ることができた。
💡 現代社会においても、美術界におけるジェンダー不平等は存在し、持続的な問題提起と改善が必要である。