Lunar Mystical Logo Menu opener

豊嶋康子『発生法』展とは? 初期作品から新作まで、社会への問いを紐解く (?)東京都現代美術館で開催! 豊嶋康子展の見どころ

30年以上にわたり、社会の制度や価値観を独自の視点で問い続けるアーティスト、豊嶋康子の個展。日常に潜むルールや仕組みを「私」を通して解体し、私たちの認識や体験に潜む“発生”をあぶり出す。マークシート、経済システム、定規など、身近なものを題材にした多様な作品群は、既成概念を揺さぶり、私たちが当たり前と思っていることの意味を問い直す。思考とユーモアに満ちた、自由を再考する展示。

豊嶋康子『発生法』展とは? 初期作品から新作まで、社会への問いを紐解く (?)東京都現代美術館で開催! 豊嶋康子展の見どころ

📘 この記事で分かる事!

💡 豊嶋康子の個展が東京都現代美術館で開催。初期作品から新作まで約500点を展示。

💡 社会の制度や価値観を独自の視点で捉え直し、問い直す作品世界を紹介。

💡 1990年のデビュー作《エンドレス・ソロバン》と〈マークシート〉が修復されて展示。

それでは、本展の概要から、豊嶋康子さんの作品が私たちに問いかけるものまで、詳しく見ていきましょう。

豊嶋康子の制作の軌跡

豊嶋康子の作品が問いかけるものは?

社会と自己の成り立ち

本展は、豊嶋康子の30年以上にわたる創作活動を網羅し、彼女の思考と社会への眼差しを浮き彫りにします。

豊嶋康子発生法──天地左右の裏表」(東京都現代美術館)レポート。独自の視点と尺度で制度や価値に対峙し続けてきたコンセプチュアル・アーティストの年、点
豊嶋康子発生法──天地左右の裏表」(東京都現代美術館)レポート。独自の視点と尺度で制度や価値に対峙し続けてきたコンセプチュアル・アーティストの年、点

✅ 豊嶋康子の個展「豊嶋康子 発生法──天地左右の裏表」が東京都現代美術館で開催され、初期作品から新作まで500点以上の作品が展示されている。

✅ 本展は、社会における制度やルール、物の使われ方、価値観といったものを独自の視点でとらえ直し、問い直す豊嶋康子の作品世界を、初期作品から新作まで網羅している。

✅ 特に注目すべき点は、1990年のデビュー作である《エンドレス・ソロバン》と〈マークシート〉が修復されて展示されていること。これらの作品は、豊嶋の初期から続く、既存の評価システムや社会の枠組みに対する批評精神を示している。

さらに読む ⇒出典/画像元: https://www.tokyoartbeat.com/articles/-/yasuko-toyoshima-report-202312

初期作品から新作まで、多岐にわたる作品を通して、豊嶋康子の思考の軌跡を辿ることができます。

社会に対する彼女の鋭い洞察力と、それを表現する独創的な手法に感銘を受けました。

豊嶋康子は、1990年から30年以上、日常の様々な制度や価値観、約束事を「私」の視点から独自の仕方で捉え直し、社会と自己の成り立ちを問い続けてきた作家です。

物の機能を宙吊りにする作品から、社会・経済活動そのものを素材とした作品、色の体系を塗り替える作品など幅広い制作を行ってきました。

豊嶋の作品は、既成の仕組みや枠組みに対して「私」を用いて別の見方を挿入し、その構造と私たちの認識や体験の「発生」を捉えようとしています

自身の思考を素材とし、ユーモアを交えながら、私たちをめぐる事物に対する「私」の応じ方のかたちにした豊嶋の制作は、私たちの思考や行為、そして自由について、あらためて捉え返す契機を与えてくれるでしょう。

面白いですね! 既存の枠組みに疑問を投げかけるって、すごくスピリチュアルな行為だと思います。豊嶋さんの作品から、自分の内面と対話するヒントが得られそうです!

豊嶋康子の創作の源泉

豊嶋康子の作品は、どんな影響から生まれたのですか?

飯村隆彦の書籍の影響です

豊嶋康子の作品は、私たちの日常に潜む゛当たり前゛を揺さぶり、新たな視点を与えてくれます。

身近なものを独自の視点でとらえ直す豊嶋康子初の大規模個展【東京都現代美術館】
身近なものを独自の視点でとらえ直す豊嶋康子初の大規模個展【東京都現代美術館】

✅ 豊嶋康子の初の大規模個展「豊嶋康子 発生法──天地左右の裏表」が東京都現代美術館で開催され、初期作品から新作まで約500点が展示されている。

✅ 本展では、身近なものや制度、価値観を独自の視点で捉え直し、私たちの「当たり前」を揺さぶる豊嶋康子の作品世界を、33年ぶりに公開される初期作品《マークシート》や《エンドレス・ソロバン》などを通して紹介している。

✅ 展示方法にも工夫が凝らされ、壁の裏側に作品を展示したり、展示室の壁自体を作品の一部として取り入れたりすることで、鑑賞者の視点を多角的に誘導し、新たな発見を促している。

さらに読む ⇒出典/画像元: https://sfumart.com/column/17190/

豊嶋康子の作品が、いかにして社会への問題提起へと繋がったのか、その過程が興味深いです。

飯村隆彦さんの影響や、幼少期の経験が、彼女の表現の根底にあると知り、更に作品への理解が深まりました。

豊嶋康子は、東京藝術大学在学中に映像作家の飯村隆彦さんの書籍『映像実験のためにテクスト・コンセプト・パフォーマンス』に出会い、表現を別のフォーマットに置き換えること、社会の型を利用した作品制作の可能性に気づきました。

この書籍の影響を受けた豊嶋さんは、マークシートの記入欄の外側を塗りつぶした作品『マークシート』を制作し、自身の表現を確立しました。

学生時代は新表現主義全盛期でしたが、豊嶋さんは周りの作品に違和感を感じ、自身の表現を深めたいという強い思いを抱いていました。

飯村隆彦さんの作品を通して、同時代の情報と少し前の時代の情報の間に「理解の深さ」のズレを感じ、自身の制作に繋げました。

また、幼少期に教会の日曜学校に通っていた経験から、正しさや倫理的な感覚を育んだと語っています。

豊嶋さんの作品は、鉛筆や定規、マークシートといった身近な道具や仕組みのニュートラルさを疑うことから始まり、社会のシステムやルールを作品に取り込み、独自の表現を生み出しています。

そして、自身の作品の根底には、正しさを追求する姿勢と、社会に対する鋭い観察力が、作品を通して表現されています。

作品の根拠となる思想や、影響を受けたものが明確に示されているのは、非常に科学的で良いですね。彼女の表現方法が、どのようにして確立されたのか、興味深く感じました。

次のページを読む ⇒

豊嶋康子の30年超の創作を網羅!社会と自己、認知の枠組みを問い直す、圧巻の500点超え!初期から新作まで、既成概念を覆す、刺激的な展覧会。