デ・キリコの世界:形而上絵画とは? その生涯と作品を紐解く?シュルレアリスムに影響を与えた画家、デ・キリコの回顧展
形而上絵画の創始者、デ・キリコ。現実と夢が交錯する不思議な世界を描き、シュルレアリスムに影響を与えた巨匠の展覧会が開催!代表作から舞台美術まで、約100点超でその画業を辿る。「謎」をテーマに、孤独、不安、そして美しさが凝縮された作品群は、観る者を深い思索へと誘う。
💡 ジョルジョ・デ・キリコの生涯と、形而上絵画という独特な画風について解説します。
💡 代表作「イタリア広場」や「形而上の室内」など、彼の作品に見られるテーマを紹介。
💡 東京都美術館で開催中の「デ・キリコ展」の見どころを、詳細な展示内容と共にお届けします。
それでは、ジョルジョ・デ・キリコの生涯と作品について、詳しく見ていきましょう。
まずは、彼の生い立ちからですね。
ジョルジョ・デ・キリコ:初期から晩年まで
ジョルジョ・デ・キリコはどんな芸術運動の創始者として知られていますか?
形而上絵画
「ジョルジョ・デ・キリコ」の生涯と画風について、初期から晩年までの流れを解説します。

✅ ジョルジョ・デ・キリコは、シュルレアリスムに影響を与えた、現実感のない風景や静物を描く画家である。彼の画風は、当時流行していたキュビズムや未来派とは異なり、謎めいた世界観を表しており、形而上絵画と呼ばれていた。
✅ デ・キリコの画風は、彼がフィレンツェのサンタ・クローチェ広場を訪れた際に、自身の心理状態と外界との隔絶に気づいたことから生まれたと言われる。彼はその経験から、現実を直接描写するのではなく、心の状態を表現する絵画を描くようになった。
✅ 彼の作品は、周囲の人々の心に大きな影響を与え、シュルレアリスムなど、後の芸術運動の基礎を築いたと言える。特に、1910年代に制作された作品は、シュルレアリストたちに大きな影響を与え、彼らが推進した芸術運動の土台となった。
さらに読む ⇒(アートニュースジャパン)出典/画像元: https://artnewsjapan.com/article/2042デ・キリコは、幼少期から晩年まで、様々な影響を受けながら作風を変化させていったのですね。
特に、形而上絵画への転換は、彼の人生における大きな転換点だったことがわかります。
ジョルジョ・デ・キリコは、1888年7月10日にギリシャで生まれ、1978年11月20日にイタリアで亡くなりました。
彼は、形而上絵画という芸術運動の創始者として知られており、作品の多くはシュルレアリスムに影響を与えました。
幼い頃から絵を描くことを好み、父親からマネキンの原型となる顔に十字線を引いて目鼻の位置を決めることを教わります。
17歳で父親を亡くし、母親と共にミュンヘンへ移住し、美術アカデミーに入学します。
そこで、クリンガー、ベックリン、ニーチェなどの影響を受けます。
22歳でフィレンツェに移り住みますが、腸疾患とうつ状態に悩まされます。
しかし、この苦しみの中、最初の形而上絵画を制作しました。
形而上絵画は、見慣れたものが、いつもとは違った感じに見えるように描かれた絵のことです。
23歳のとき、パリに移住。
24歳で「謎以外になにが愛せようか」というニーチェの言葉を愛したキリコは、その言葉に象徴される、謎めいた形而上絵画「神託の謎」「ある秋の午後の謎」を発表します。
25歳で初売上が起こり、アポリネール、ピカソ、ブラック、ローランサンなど、多くの芸術家と出会います。
アポリネールはキリコの絵を絶賛し、その後のアポリネールの事故を予言していたのでは?とまで言われています。
27歳で第一次世界大戦が勃発し、イタリア軍に入隊しますが、うつ状態が悪化し軍病院に入院します。
29歳で画家カッラと出会い、形而上派を結成しますが、30歳でカッラとの対立により解散します。
31歳でローマで個展を開きますが、酷評されます。
その後、作風は形而上絵画から古典的なものに変化し、ルネッサンス絵画の模写や古典技法を研究するようになります。
しかし、この転向は周囲から理解されず、画廊主からは形而上の絵を求められます。
33歳でテンペラ画を描き始め、その後、2度結婚します。
生涯を通じて、多くの作品を発表し、後世に多大な影響を与えたキリコですが、晩年は真贋問題で様々な議論を巻き起こすことになります。
デ・キリコさんの作品は、なんだか不思議な力強さがありますね。歴史や哲学、色々な影響を受けて、自分の世界観を表現しているところが素敵です。
デ・キリコの芸術世界:形而上絵画からシュルレアリスムへ
デ・キリコはどんな絵画で有名?
形而上絵画
デ・キリコの芸術世界を、作品様式の変化という視点から「自画像・肖像画」「形而上絵画」「伝統的な絵画への回帰」「新形而上絵画」という4つのテーマで解説します。

✅ ジョルジョ・デ・キリコの約70年の作品を「自画像・肖像画」「形而上絵画」「伝統的な絵画への回帰」「新形而上絵画」という4つのテーマで展示し、彼の作品様式の変化と時代ごとの変遷を見ることができる。
✅ デ・キリコは初期の象徴主義や後期ロマン派の影響を受けた自画像・肖像画から、ルネサンスやバロック様式を取り入れた人物画まで、西洋美術史における典型的なテーマである人物画を継続的に描き続けていた。
✅ デ・キリコの代表作である「形而上絵画」は、現実世界を超えた非日常的な世界を表現することで、それまでの伝統的な写実絵画とは異なる神秘的な世界観を提示している。
さらに読む ⇒出典/画像元: https://www.tokyoartbeat.com/articles/-/giorgio-de-chirico-report-202405デ・キリコの作品は、一見すると理解しがたい部分もありますが、時代背景や彼の内面を知ることで、より深く作品を理解できることが示唆されていますね。
デ・キリコは、古典主義的な表現手法を用いた絵画や、夢や記憶といったテーマを追求した形而上絵画など、多様な作品を生み出してきました。
彼の作品の特徴は、現実と夢、過去と現在が混ざり合った不思議な世界を描いており、寂しくも不気味にも感じられることです。
デ・キリコは、アルノルト・ベックリンやマックス・クリンガーといった象徴主義画家の影響を受けており、彼の作品は、後にシュルレアリスム運動に大きな影響を与えました。
デ・キリコは、1910年頃に初めて形而上絵画の作品を手掛け、1911年にはパリに移住しました。
パリ滞在中に、古典的な建築物をモチーフとした作品を多く制作し、1913年にはアンデパンダン展およびサロン・ドートンヌに出品し、初めて作品が売れました。
1915年には第一次世界大戦勃発に伴い、イタリア軍に招集されたため、北イタリアのフェッラーラに駐屯し、戦争体験を持つデ・キリコは、その後の人生で戦争をテーマにした作品を多く制作するようになります。
彼の作品は、現代美術史上重要な位置を占め、シュルレアリスム、超現実主義、そして現代美術全般に大きな影響を与えました。
現実と夢が混ざり合ったような世界観…科学的に考えると、脳の働きと関係があるのでしょうか?彼の作品には、何か人間の深層心理を刺激する力があるように感じますね。
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デ・キリコの全貌!約100点の作品で、形而上絵画から晩年の回帰までを網羅。謎めいた世界観、舞台美術も必見。東京都美術館で開催中!