ゲルハルト・リヒター展とは?巨匠リヒターの作品と、その魅力に迫る(?マーク)写真と絵画、具象と抽象の狭間で揺れ動くリヒターの世界
現代アート界の巨匠、ゲルハルト・リヒター。写真と絵画を融合させた革新的な表現で、絵画の概念を覆し続ける。具象と抽象を自在に操り、歴史や人間の深層をえぐり出す。本展では、代表作から未公開作までを一挙公開。その眼差しは、私たちに何を見せるのか? リヒターの芸術世界を、あなた自身の目で解き明かそう。
💡 ゲルハルト・リヒターは、写真と絵画を融合させた「フォト・ペインティング」や抽象画で知られ、現代美術の巨匠として世界的に評価されています。
💡 リヒターの作品は、歴史的事件や個人的な記憶をテーマとし、写真的な写実性と抽象表現を組み合わせることで、見る者に深い思索を促します。
💡 東京国立近代美術館で開催された「ゲルハルト・リヒター展」では、初期から最新作まで、リヒターの多岐にわたる作品群を堪能できます。
今回は、ゲルハルト・リヒターの作品を通して、その魅力と、現代美術におけるリヒターの重要性についてご紹介していきます。
それでは、まずこの記事で分かることについて見ていきましょう。
ゲルハルト・リヒター:ドイツ出身の現代美術の巨匠
リヒターはどんな作風で有名?
写真と絵画の融合
この章では、ドイツ出身の現代美術の巨匠、ゲルハルト・リヒターについて解説していきます。
リヒターの生い立ちや、彼がどのような画家であるのか、その作風と合わせて見ていきましょう。
公開日:2025/05/06

✅ ゲルハルト・リヒターは、20世紀後半に登場した新欧州絵画のパイオニアであり、多様なスタイルで絵画の本質を追求し続ける「ドイツ最高峰の画家」として知られています。
✅ 彼は抽象画から具象画、平面作品から立体作品まで幅広い表現方法を用い、その中でも「アブストラクト・ペインティング」シリーズや「フォトペインティング」シリーズが有名です。
✅ リヒターの作品は世界中のコレクターやセレブから注目されており、高額で取引されることでも知られています。特に「アブストラクト・ペインティング」シリーズは人気が高く、2012年には彼の作品が当時の生存中のアーティストの作品では史上最高額で落札されました。
さらに読む ⇒出典/画像元: https://media.and-owners.jp/art-studies/contemporary-art/whois_gerhard_richter/リヒターの作品は、写真と絵画の境界線を巧みに利用し、独自の表現を生み出していますね。
高額で取引されることからも、その人気と評価の高さが伺えます。
ゲルハルト・リヒターは、1932年生まれのドイツ出身の現代アーティストです。
彼はドレスデン美術大学で伝統的な芸術教育を受けましたが、社会主義レアリズムの影響のもと、西ドイツの芸術に憧れ、1961年に西ドイツに亡命しました。
その後、デュッセルドルフ芸術大学で教授を務め、独自の作風を確立しました。
リヒターの作品は、写真と絵画の境界線をテーマとし、写真の上にペインティングを施す「オーバー・ペインテッド・フォト」や画面全体をぼかした「フォトペインティング」など、多様なスタイルで知られています。
彼のフォトペインティングは、印象派とは異なる考え方で、写真の特性を組み込んだ絵画という独自の表現を生み出しています。
また、抽象絵画を融合させた「オーバー・フォト・ペインティング」では、写真の写実性と抽象的な表現を対比させ、新たな視点を提示しています。
リヒターは、アンゼルム・キーファー、ジグマー・ポルケらとともに「新欧州絵画」を牽引し、現代アートの潮流に大きな影響を与えました。
彼の作品は世界中で高く評価されており、日本の美術館でも数多くの個展が開催されています。
写真と絵画の融合という斬新な表現方法に、とても興味を惹かれました。私も自分の内面を表現する際に、新しい方法を試してみようと思いました。
リヒターの芸術:イメージの追求と絵画の拡張
リヒターは絵画と写真、どちらを重視している?
どちらも独立した作品
この章では、リヒターの「写真のような絵画」に焦点を当てて解説していきます。
なぜリヒターは写真のような絵画を描くのか、その表現方法に迫ります。

✅ この記事は、ゲルハルト・リヒターの「写真のような絵画」について、特に彼の代表作である「フォト・ペインティング」シリーズに焦点を当てて解説している。
✅ リヒターは、写真をもとに油絵を描き、それらをぼかしたり、輪郭をぼかしたりすることで、写真のような雰囲気を作り出している。
✅ 記事では、リヒターがなぜ写真のような絵画を描くのか、そしてその「写真らしさ」をどのように実現しているのかを、写真と絵画の境界線をめぐる議論を通して考察している。
さらに読む ⇒出典/画像元: https://imaonline.jp/articles/archive/20210719gerhard-richter/リヒターは、絵画と写真という異なるメディアを使い、イメージの多層性を表現しているんですね。
「ビルト」という概念を通して、絵画の可能性を広げている点も興味深いです。
ゲルハルト・リヒターは、1960年代より現代アートの最前線を歩むアーティストであり、絵画、写真、ガラスなど様々な媒体を用いて制作活動を行っています。
彼は、自らを「画家」と呼ぶ一方で、「イメージメイカー」という表現も用いるなど、自身の肩書きについて揺れ動いています。
彼の作品は、絵画という枠にとらわれず、「ビルト(Bild)」というドイツ語が持つ「絵画」、「写真」などを含む広義のイメージを追求しています。
リヒターがガラス作品に枠をつけるなど、西洋美術における「窓」という伝統的な絵画観を踏襲しながらも、絵画と写真の関係性に新たな視点をもたらしています。
リヒターにとって、写真と絵画は複製と原画の関係ではなく、それぞれ独立した作品として成立しています。
写真の《ルディ叔父さん》は、絵画を元にした作品でありながらも、絵画の筆触を意図的にぼかして撮影することで、異なる表現を生み出しています。
リヒターは、様々な媒体を用いることで、イメージの多層性や複雑さを表現し、絵画の概念を拡張しています。
彼の作品は、古典的な絵画の枠を超えて現代美術の新たな可能性を追求する、画期的で挑戦的な作品と言えるでしょう。
写真と絵画の関係性について、とても示唆に富む内容でした。複製と原画という対比ではなく、それぞれの独立性に着目している点が、新しい視点を与えてくれました。
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巨匠リヒター、16年ぶりの日本個展!ホロコーストから抽象まで、絵画の限界に挑む。歴史、時代、そして人間の存在を問いかける、圧巻の作品群。