ゲルハルト・リヒター展とは?巨匠リヒターの作品と、その魅力に迫る(?マーク)写真と絵画、具象と抽象の狭間で揺れ動くリヒターの世界
現代アート界の巨匠、ゲルハルト・リヒター。写真と絵画を融合させた革新的な表現で、絵画の概念を覆し続ける。具象と抽象を自在に操り、歴史や人間の深層をえぐり出す。本展では、代表作から未公開作までを一挙公開。その眼差しは、私たちに何を見せるのか? リヒターの芸術世界を、あなた自身の目で解き明かそう。
リヒターと歴史:ホロコーストと「時代とのずれ」
リヒターはなぜホロコーストを題材に作品を制作したのか?
図像化への挑戦
この章では、リヒターと歴史、特にホロコーストをテーマにした作品に焦点を当てて解説していきます。
リヒターがどのようにして、この重いテーマに向き合ったのかを見ていきましょう。

✅ 本展は、今年90歳を迎えたゲルハルト・リヒターの60年におよぶ画業を振り返るもので、ガラスや鏡を用いた作品群、抽象画シリーズ「アブストラクト・ペインティング」、そしてホロコーストを主題にした4枚の連作「ビルケナウ」など、多様な作品を通してリヒターのキャリアをたどります。
✅ 特に注目すべきは、日本初公開となる「ビルケナウ」です。この作品は、アウシュヴィッツ・ビルケナウ強制収容所で囚人が隠し撮りした写真を描き写したイメージに、黒、白、赤、緑の絵の具で塗り重ねた抽象画です。ホロコーストという重いテーマを、抽象表現によって描き出した力強い作品となっています。
✅ 本展は、リヒター自身が展示構成を考え、来場者が自由に作品を見て周り、自発的に作品間の結びつきを発見できるような開放的な展示空間となっています。新旧の作品が混在する中で、リヒターの芸術の深淵に触れることができます。
さらに読む ⇒出典/画像元: https://www.cinra.net/article/202206-briefing-gerhardrichter_gtmnmcl「ビルケナウ」という作品は、ホロコーストというテーマを抽象表現で描き出した、非常に力強い作品ですね。
リヒターが、長年かけてこのテーマに取り組んできたことに感銘を受けました。
リヒターは戦後ドイツの作家として、ホロコーストを扱うことの難しさに直面してきました。
初期には、強制収容所の裸のユダヤ人の写真とポルノグラフィを並べて展示する構想をもっていましたが、実現には至りませんでした。
しかし、彼はその後も歴史的な事件や大量の死者に関わる主題を扱い続け、2014年にはついにホロコーストを題材にした《ビルケナウ》を発表しました。
鈴木氏は、リヒターがそうした主題に取り組み続けたのは、いつかホロコーストを納得できるかたちで図像化するための挑戦だったのではないかと考えています。
一方、桝田氏は、リヒターの作品には「時代とのずれ」がある点に注目します。
彼は、時代的な流行や世間の関心に追従するのではなく、「何かが起きた後」という問題をテーマに作品を制作してきたと指摘します。
さらに、リヒターの息子を描いた《モーリッツ》も、この「ずれ」や「遅れ」を象徴する作品だとされます。
リヒターは、この作品に何年にもわたって手を加え続け、その過程で絵画の限界に挑戦してきたと言われています。
また、この作品はリヒター自身の自画像であるという解釈も存在します。
リヒターがホロコーストというテーマに長年向き合ってきたことに、心を打たれました。深く考えさせられる内容で、私自身の人生観にも影響を与えそうです。
「ゲルハルト・リヒター展」:多岐にわたる作品群と深淵
リヒター展の見どころは?
抽象と具象の融合
この章では、東京国立近代美術館で開催された「ゲルハルト・リヒター展」について解説していきます。
展示構成や作品の魅力を、詳しく見ていきましょう。
公開日:2025/03/18

✅ 今回の「ゲルハルト・リヒター展」は、リヒター財団が所有する作品で構成されており、時系列ではなく、自由に鑑賞できる展示構成になっている。
✅ リヒター財団コレクションは90年代以降の作品が多く、同展では近年最も重要な作品である《ビルケナウ》が初公開されている。
✅ 《ビルケナウ》は、アウシュヴィッツ・ビルケナウ収容所で撮影された写真の上に抽象的な色彩を重ねた作品であり、リヒターが長年取り組んできたホロコーストの表象を、ようやく作品として世に出すことができたものである。
さらに読む ⇒都心の平米を超えるマンション出典/画像元: https://r100tokyo.com/curiosity/talk-art/arttalk_vol017/「ゲルハルト・リヒター展」は、リヒターの多岐にわたる作品群を網羅した、貴重な機会ですね。
展示構成も、鑑賞者が自由に作品に向き合えるように工夫されているようです。
「ゲルハルト・リヒター展」は、現代アートの巨匠、ゲルハルト・リヒターの日本では16年ぶり、東京での開催は初となる大規模個展。
展示室は、順路に沿って作品を追っていくのではなく、鑑賞者は放射状に配置された小部屋を何度も行き来しながら作品を見る。
展示室の中央には、リヒターの代表作である「アブストラクト・ペインティング」シリーズが置かれ、その起点となるような位置に《アブストラクト・ペインティング(CR952-4)》(2017)が鎮座している。
この作品は、リヒターが「油絵は今後制作しない」と公言した転換点となる作品であり、私たちを迎え入れる。
展覧会では、リヒターの代表作である「フォト・ペインティング」「アブストラクト・ペインティング」「オイル・オン・フォト」といったシリーズに加え、「ビルケナウ」のような歴史認識と向き合った作品も展示されている。
リヒターは、具象と抽象を自在に行き来し、高い技術を以って長きに渡り表現し続ける。
彼の作品はわかりやすく、多くの人から人気を得ている。
また、彼は作品を通して、自身の考えや制作過程を明かすことも厭わない。
しかし、この展覧会では、リヒターの多岐にわたる作品群から、その全容を掴むことは難しい。
私たちはこの展覧会で、リヒターの真意をどこまで見抜くことができるのだろうか?。
展示構成が、作品への理解を深める上で非常に重要だと感じました。私も、様々な角度から作品を鑑賞し、自分の解釈を深めていきたいと思いました。
リヒターの芸術:歴史、美術、人間の存在への問い
リヒターはどんな手法で現代美術に新境地を開いた?
写真と絵画の融合
この章では、リヒターの芸術を通して、歴史、美術、そして人間の存在について考えます。
リヒターの作品が、私たちに問いかけるものとは何でしょうか。
公開日:2022/07/31

✅ ゲルハルト・リヒターの60年の画業を網羅した大個展は、具象と抽象のはざまを揺れ動き、見る人の感覚を刺激する多層的な作品群で構成されている。
✅ 抽象絵画は、手の跡や色の重ね合わせを通して、記憶や体験の重層性を表現し、具体的な体験をもたらす。また、「ビルケナウ」のように、重い歴史をモチーフにした抽象絵画は、写真や記憶との複雑な関係性を示唆する。
✅ フォト・ペインティングでは、写真的な写実性とぼかしを組み合わせることで、具象と抽象の境界線を曖昧にし、「イメージ」の本質を問うている。展示空間には、鏡やガラス、写真などが取り入れられ、絵画と現実の境界が溶け合い、新たなイメージを生み出している。
さらに読む ⇒朝日新聞デジタル:朝日新聞社のニュースサイト出典/画像元: https://www.asahi.com/articles/DA3S15373852.htmlリヒターの作品は、写真や絵画、そして様々な表現方法を通して、記憶や歴史、そして人間の存在について深く考えさせられますね。
改めて、その多様性に圧倒されました。
今回の対談では、リヒターの芸術観や作品を通して、歴史と美術、そして人間の存在について考えるためのヒントが得られます。
ゲルハルト・リヒターは、現代美術の巨匠として知られるドイツ出身の画家です。
1960年代半ばから現在まで、60年以上画家として活躍し、世界中で高い評価を受けています。
リヒターはドレスデン芸術アカデミーで絵画を学び、その後デュッセルドルフ芸術大学の教授に就任するなど、教育者としても活躍しました。
彼の作品は多岐にわたっており、「フォト・ペインティング」や「オーバー・ペインテッド・フォト」など、写真と絵画を組み合わせた手法や、ガラスを取り入れた立体作品、抽象画など、様々なテクニックを駆使しています。
代表作には、「1025Farben(357-3)」、「Betty Nov. 1999」、「ケルン大聖堂のステンドグラス」などがあります。
リヒターは、写真をもとに写実的に描いた作品や、抽象的な表現を追求した作品など、常に新しい手法に挑戦し続け、現代美術の新たな地平を切り拓いてきました。
彼の作品は世界中の美術館やギャラリーに収蔵されており、現代美術史において重要な位置を占めています。
リヒターの作品は、単なる美術作品としてではなく、私たちが生きる上で大切な問いかけをしてくれているように感じました。自分の人生と重ね合わせて、深く考えてみたいです。
ゲルハルト・リヒターの作品は、美術、歴史、そして人間の存在について、私たちに様々な問いを投げかけます。
今回の記事を通して、少しでもその魅力が伝わっていれば幸いです。
💡 ゲルハルト・リヒターは、写真と絵画を融合させ、現代美術に大きな影響を与えた巨匠であり、多様な作品群を通して、私たちの知覚や記憶に訴えかけてきます。
💡 「フォト・ペインティング」や抽象画など、リヒターの作品は、写真と絵画、具象と抽象の境界線を揺るがし、深い思索を促します。
💡 東京国立近代美術館で開催された「ゲルハルト・リヒター展」では、リヒターの芸術を多角的に理解し、その深淵に触れることができます。