ナン・ゴールディン個展、表現の自由は？検閲問題と映画『美と殺戮のすべて』から考える（？マーク）ベルリン新国立美術館、ガザ問題巡る個展騒動。ゴールディンの芸術と社会活動。

展示内容を巡る対立

本章では、展示内容を巡る対立について解説します。

美術館側の対応とゴールディンの主張の間には食い違いがあり、最終的に、ゴールディンの意向に沿った形でスライドが追加されました。

イスラエル・パレスチナ紛争で脅かされるヨーロッパの表現と集会の自由

公開日:2024/12/05

✅ EUは人権と法の支配を推進する立場を表明しているが、イスラエル・パレスチナ紛争への対応は矛盾を示し、パレスチナ支持者への権利制限が強まっている。

✅ 表現と集会の自由は国際的に保障されているが、ヨーロッパ各国ではデモの届け出義務化や、場合によっては許可制が導入されているなど制限があり、特にパレスチナ支持に関する集会が対象となるケースがある。

✅ 反ユダヤ主義の定義の解釈が表現の自由を制限する要因となっており、イスラエル国家への批判も反ユダヤ主義とみなされる場合があるため、この定義に対する批判も存在する。

さらに読む ⇒出典/画像元: https://globalnewsview.org/archives/987492241

表現の自由と政治的発言のバランスは、常に難しい問題です。

今回の個展を通じて、アート界における表現の自由について、改めて考えさせられることになりました。

個展では、展示作品への検閲疑惑も浮上しました。

ゴールディンは、ガザ地区やレバノン、10月7日のハマスによる攻撃で犠牲になったイスラエル国民への連帯を示すスライドを《性的依存のバラード》に追加しようとした際、美術館側から拒否されたと主張しています。

美術館側は当初、イスラエル国内の犠牲者への言及がなかったため展示を許可しなかったと反論。

最終的にはゴールディンの意向に沿った形でスライドが追加されましたが、表現の自由と政治的なメッセージのバランスを巡る議論を呼んでいます。

この問題は、アート界における表現の自由と政治的発言のあり方を問うものとなりました。

表現の自由って、本当に大切ですよね。でも、同時に責任も伴うというか…。難しい問題だけど、色んな人の意見を聞いて、自分なりの答えを見つけたいです。

ゴールディンの活動と映画の評価

本章では、ゴールディンの活動と映画の評価について解説します。

彼女のドキュメンタリー映画は、彼女のアーティストとしての活動と私生活を織り交ぜた異色の作品として、世界的に評価されています。

美と殺戮のすべて』が映すナン・ゴールディンの肖像。痛みに満ちた生が「美」を通して立ち上がる

✅ 写真家ナン・ゴールディンのドキュメンタリー映画『美と殺戮のすべて』は、社会問題化したオピオイド危機に対する抗議運動と、彼女の半生を自身の言葉や作品で振り返るという構成で、第79回ヴェネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞した。

✅ 映画は、ゴールディンがオピオイド危機への責任を追及する団体「P.A.I.N.」の抗議運動の様子から始まり、彼女の生い立ちを語るパートへと続き、政治運動と自身の人生を振り返る語りが交錯しながら展開する。

✅ 本作は、ゴールディン自身が語り手となり、写真を通して自身の人生を振り返ることで、彼女がなぜ戦い続けるのかを描き出し、アーティストとしての倫理的な姿勢を示している。

さらに読む ⇒出典/画像元: https://www.cinra.net/article/202403-nangoldin_gtmnm

彼女の映画は、アートと社会運動を融合させた作品として、大きな影響を与えています。

アーティストが社会問題に対して声を上げることの重要性を、改めて認識させられました。

ナン・ゴールディンのドキュメンタリー映画『美と殺戮のすべて』は、彼女のアーティストとしての活動と私生活を織り交ぜた異色の作品として、世界的に評価されています。

映画は、アメリカのオピオイド危機に対する抗議運動から始まり、ゴールディンが設立した団体「P.A.I.N.」によるメトロポリタン美術館での抗議活動を描きます。

彼女は製薬会社パーデュー・ファーマ社の資金提供と美術館の関連性を問題視し、抗議活動を通じてその責任を追及します。

映画は、ゴールディン自身の視点を通して彼女の人生と活動を描き出し、彼女がなぜ戦い続けるのかを浮き彫りにします。

この映画は、彼女がアーティストであると同時に、アクティビスト、告発者としての側面を持つことを示しており、その活動は彼女の個展における議論とも深く繋がっています。

彼女の生き方は、私にもすごく響きます。自分の信じるものを貫くって、本当に美しい。私ももっと、自分の心に正直に生きたいと思いました。

本記事では、ナン・ゴールディンの個展を巡る様々な問題について、その背景、内容、そして彼女の映画を通して掘り下げてきました。

表現の自由、政治、そしてアートの関係について、深く考えさせられる内容だったと思います。